【サンティアゴ=外山尚之】日産自動車は9日、電気自動車(EV)「リーフ」をブラジルなど中南米8カ国で販売すると発表した。これまで同社はEVを主に先進国で販売してきたが、今後、新興国でも需要が伸びると判断した。財政問題を抱えるブラジルでは現在、自動車産業振興策を巡る議論が迷走。EVに対する優遇税制も宙に浮いたままだが、政府の決定を待たずに市場投入する。

9日にサンパウロで開いたイベントで明らかにした。2019年以降、ブラジルやチリ、コロンビアなど各国で販売する。仏ルノー・日産・三菱自動車連合は2022年までの新中期経営計画で3割をEVなどの電動車両にするとしており、これまで手薄だった中南米地域での環境車対応を進める。

現在、ブラジル政府は新たな自動車産業振興策「Rota2030」の策定を進めている。環境車への優遇税制や研究開発(R&D)へのインセンティブなどが導入される見込みだが、財政規律を重視する財務省と産業政策をつかさどる商工サービス省の対立で、内容が固まらない状況が続いている。日産ブラジル法人の社長は「(振興策は)ブラジルの自動車産業の新技術への発展を助ける」と述べ、早期策定を求めた。
2018/3/10 8:13
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27967980Q8A310C1000000/