厚生労働省は7日、医療サービスの公定価格である診療報酬について、4月からの詳細な改定方針をまとめた。「かかりつけ医」が各地域で普及するよう報酬を厚くするのが柱で、新たに800円の初診料を上乗せする。大病院での高度医療との役割分担を明確にしつつ、国として「病院から在宅へ」という方針を加速する。医療と介護の連携も進める。

 中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)に示した。改定率は2018年度予算の編成過程で0.55%増となることを決めており、4月からの適用に向けて具体的に詰めた。

厚労省は団塊の世代が全員75歳以上になる25年に向け、費用がかかる病院でなく自宅や介護施設など住み慣れた地域で、老後を送れる体制をつくる必要があると考えた。かかりつけ医の普及をその柱とし、診療だけでなく日常の健康相談や予防に取り組むよう促す。

 報酬の具体策として、かかりつけ医向けに800円の初診料加算措置(自己負担は最大3割)を新設。報酬を手厚くし、夜間や休日も電話対応できるようにすることなどを求める。患者にとって身近になる半面、自己負担もその分増す。

 生活習慣病など慢性的な病気について遠隔診療の活用を促す手当てもした。今回は介護サービスの公定価格である介護報酬との同時改定にあたり、介護との連携も重視した。自宅での「みとり」に対して報酬を加算、特別養護老人ホームでの終末期医療の拡充などの措置も盛り込んだ。

地域医療と大病院との役割分担の具体策としては、紹介状を持たず大病院を受診した際の負担を見直す。いまは初診で5千円以上、再診で2500円以上を負担。対象となる病院の要件を500床以上から400床以上に広げる。地方の中核病院なども対象に含める。

 入院医療の仕組みも改める。現在は「患者7人に対して看護師1人を配置する」という基準に基づいた病床の報酬が厚く、数が多い。高い報酬に見合った医療を提供できていない病院も指摘されている。今回の改定では重症者の割合などに応じて入院料を細かく分類する方式に改める。「患者10人に対して看護師1人」が配置される病床への緩やかな移行を促す。

 医療費は高齢化に伴って大幅な増加が見込まれるため、どう効率化するかが課題になっている。

 今回は薬の公定価格である薬価を平均約7%引き下げる。21年度からは制度改革の一環で、現在2年に1度になっている薬価の改定を毎年実施することを決めた。病院前に立ち並ぶチェーン薬局への報酬も減らす。年1兆円規模の医療費がかかる透析治療の報酬も減額する。
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