パナソニックが車載用の電池で攻勢を強めている。津賀一宏社長は米ラスベガスで開かれている世界最大の家電見本市「CES」の会場で日本経済新聞社などの取材に応じ、「(車載電池は)世界でいかに戦えるかが全てだ」と話した。米テスラ向けの車載電池を将来的に中国で生産する可能性にも言及した。主なやり取りは以下の通り。

 ――車載電池は中国メーカーも投資し、シェアを高めています。

 「中国メーカーが大きな投資をしているのは把握しているが、電気自動車(EV)が車のマジョリティーになれば投資はこんなものではすまない。今は、これから大きなマーケットができる序章だと考えている」

 ――日本では車載電池で国内1強です。

 「たまたま国内メーカーの中では1位だが、国内1強だとは思っていない。グロバールな事業なため、日本がメーンの対象ではない。海外マーケットでいかに戦えるかがすべてだと思っている」

 ――投資先として今後どのような地域に重点を置きますか。

 「車載用の角形の新しい電池は日本から立ち上げていく。米テスラ向けは日本で立ち上げたものを米国工場で生産しており、詳細なスケジュールは決まっていないが、将来は中国で展開する可能性もある」

 ――2017年12月にはトヨタ自動車との協業検討を発表しました。

 「具体的な内容は決まっていない。だが、車載用の角形電池にフォーカスし、現状の事業から将来に向けた全固体電池まですべての領域で協業内容を決めていくスタンスで臨んでいる」

 ――テスラのEV生産が遅れていますが、業績への影響はありますか。

 「テスラの進捗状況が予想より少し遅れているのは事実だ。テスラは18年3月までに週5000台としていた生産目標を2500台に下方修正した。業績への影響はもちろんあるが、18年3月期はカバーして予想を達成する見通しで進めている」

 ――創業から100年の今年、事業構造をどのように変革していきますか。

 「100周年は記念すべき年だが、先を考え事業の再スタートを切る気持ちでいかないと次の100年どころか10年先も生き残れない。車関係や家電といった方向づけができている事業は伸ばし、まだの事業は明確な方向づけをしていく」

 ――車載関連以外の柱はどう構築しますか

 「次の100年で中韓勢などとの戦いが激しくなる中、車以外の柱は引き続き伸び悩んでいる。欧米や中国を考えると、BtoBで、ものづくりの技術を生かしながら顧客の要望に応えるシステムを作ることは柱になり得るだろう。車以外でまだ大きな柱は見えていないが、このような柱のネタは作りつつある」

 ――パナソニックとは今や何の会社と言えますか。

 「それは私も自問自答している。創業者が始めた家電事業の存在感が大きいため、家電が中核でないと言ったとたんに喪失感があるのはぬぐいさられていない。ただ、何か1つの事業ですと言って次の10年、100年生き残れるのかというのも事実だ」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25505310Q8A110C1000000/