アディダス ジャパンが手掛ける国内初のシューズ開発拠点「アディダス フットウェアラボ(ADIDAS FOOTWEAR LAB)」が10月4日、神戸・長田に開業した。アディダスのシューズ開発拠点は本国ドイツ以外では世界初。神戸・長田は全国屈指の靴製造業の集積地であり、靴職人らエキスパートがそろっていることから開発拠点に選ばれた。

 建物は地下1階から地上2階建てで延べ床面積は約900平方メートル。新商品などを体験できるショールームの他、世界最先端レベルの計測機器と高性能の製靴機器などを備えたシューズ工房、研修ルームなどで構成される。4日に開催された関係者向けの内覧会では、ショールームなどは公開されたものの。心臓部であるシューズ工房など内部のほとんどは非公開だった。

 ラボのディレクターには、1999年からアディダス シューズ クリエイションアドバイザーとして事業に携わってきたシューズクリエーターの大森敏明氏(73)が就任した。この道50年以上の大森氏は、長田を拠点にして陸上、野球、サッカー、ゴルフなどの一流アスリートのシューズを開発してきた。
2005年に日本で開発され、世界のアスリートからも高い評価を得た軽量ランニングシューズ“アディゼロ(ADIZERO)”シリーズの生みの親でもある。ワコール女子陸上競技部の福士加代子選手をはじめ、大森氏にシューズ製造を依頼するアスリートは少なくない。

 大森氏はラボの役割について「従来の製品はもちろん、新製品開発についてもパワーアップしていきたい。最新機器を使えば、これまでできなかったことも表現できる。外部に出かけることなく、自分たちでデータを蓄積し、実験を繰り返してできることに大きな意味がある」と話す。

 トークセッションに登壇した福士選手は「ランニングでは地面からの反発をうまく使うのが必要なのでフィット感とクッション性が大切。最新機器で計測し、カスタマイズしてもらうことで外反母趾の癖も軽減されると思う」とコメント。ラグビー神戸製鋼コベルコスティーラーズの山下楽平選手も「2019年、20年に向けて自分を高めていくのに靴は大事。そのサポートをしてもらえるとうれしい」と大きな期待を寄せた。
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