ヤマトの現場に漂う「改革」後も変わらぬ疲弊 (東洋経済オンライン) - Yahoo!ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170829-00185635-toyo-bus_all
8/29(火) 5:00配信

 宅配便業界最大手のヤマト運輸。他社では対応できない荷物にも対応する、対応してみせる。その姿勢が顧客の信頼を勝ち取ってきた。

 「会議で至急使う書類」

 「結婚式で袖を通す衣装」

 「翌朝に建設現場で使う工具や資材」

 「誕生日やクリスマスのプレゼント 」

 ヤマトは顧客の多様なニーズに対応するために、さまざまなサービスを作り上げてきた。時間帯サービス、翌朝10時までに配達するタイムサービス、関東当日便、ビジネス5(23区のみ当日5時までに配達)などだ。

 一方、顧客のニーズに応えるために、それらのサービスを遂行するために、ドライバーの肩には計り知れないプレッシャーがのしかかっていた。

 私は十数年ヤマトのドライバーとして勤務した経験があり、かつてのドライバー仲間との交流などにより、今も現場を見聞きしている。ヤマトの宅配現場では、ハード面のサービスだけではなく、顧客対応などソフト面でのサービスも高度なものが求められる。つねに「ヤマトこそ」「ヤマトだから」「ヤマトなのに」「ヤマトに限って」の言葉が付きまとってきた。そのプレッシャーもドライバーが疲弊する大きな要因になってきた。

■ある中堅ドライバーの憂鬱

 「ヤマトに関するいろんなニュースが流れていたときは、お客さんから同情の声やねぎらいの声、なかには今までのことに対して謝罪してくる声もあったけど、最近は何だか普通に戻りました」

 ヤマトのある営業所の中堅ドライバーは、荷物を仕分けながらこう話してくれた。

 「少し前は『無理のないスケジュールでいいよ』と言うお客さんも多かったですが、またタイトな時間で再配達を依頼する方が増えましたね。いつか、『いつまでも甘えてるんじゃねぇ』って言われないかヒヤヒヤしてますよ。汗水垂らして走ってたって、そんな演技するな! なんて言われかねません」

 連日報道された、宅配便に関する問題も前ほどには熱がないものになっている。世間の関心が徐々に薄らいでいる。ドライバー自身もそんな世間の風当たりを肌で感じている。

 ヤマトは10月1日、27年ぶりに宅急便料金を値上げする。ドライバーの負担を減らすためだ。

 だが、ドライバーの収入は、集荷と配達の個数によって決まるインセンティブによる部分も大きい。確かに荷物が減れば体力的に楽にもなるが、収入に響くのは痛い。