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今回は、私立大学の「総資産」について、ランキング形式で見ていきたい。

ランキング対象の学校法人は、財務状況を確認できる659法人で、短大や大学院大学を運営している学校法人も含まれる。国公立大学は会計基準が異なるため、このランキングの対象にはしていない。また決算期は2015年度(2016年3月期)のものとなっている。

?結果は、事業活動収入ランキングと同様、日本大学が1位となった。総資産は7372億円だ。内訳を見ると、土地1284億円、建物2269億円、図書501億円など、固定資産の合計は6865億円、一方、流動資産は、現金預金379億円、未収入金115億円など、合計507億円という数字になっている。

私立大学の総資産に占める有形固定資産の割合は平均で約6割。そのほとんどは、土地や建物で構成されている。つまり各大学がキャンパスという「学ぶ環境」に、多くの資金を投じていることがわかる。

2位は帝京大学で、総資産は5734億円だった。3位は近畿大学の4101億円、4位慶應義塾の4008億円、5位早稲田大学の3616億円と続く。以下、トップ10は、6位立命館(総資産3591億円)、7位東海大学(同3381億円)、8位は川崎医科大学などを運営する川崎学園(同3282億円)、9位は順天堂(同2727億円)、10位は北里大学を運営する北里研究所(同2694億円)という顔ぶれとなっている。

傾向的には事業活動収入ランキングでも上位に入っている大学が多い。特に医療系大学や医学部を擁する大学は、設備に多額の費用がかかるせいか、事業活動収入だけでなく、総資産の数字も大きくなる傾向があるようだ。

創価大学の総資産回転率が低いのは?

一方で、年間の事業活動収入が少なくても、多額の資産を持っている学校法人もある。12位の創価大学はそのひとつ。総資産2403億円に対して、事業活動収入は212億円と少ない。同大学は多額の寄付金などの収益により、充実した土地や建物を確保している。

21位の関西外国語大学(総資産2045億円、事業活動収入164億円)、25位武庫川学院(総資産1875億円、事業活動収入199億円)なども事業活動収入の割に総資産が多い学校法人だ。そうした大学は比較的文系大学に多いようだ。

企業の経営指標のひとつに、「総資産回転率」というのがある。総資産に対する売上高の割合を算出し(=売上高/総資産)、その数字で資産効率を見る。数字が大きければ大きいほど、資産効率が高いことになり、メーカーなら1倍前後、小売業や卸売業なら1.5〜2倍程度の数字となっているが、大学法人の場合は、0.1〜0.5倍というケースが多い。

企業のように、資産をモノやサービスを生み出すために使っているのではなく、大学法人ではいかに学生に対して上質な学習環境を用意できるかが重要となってくる。そのため、資産効率ということをある程度、度外視している部分は強いかもしれない。

資産活用という点では、運用による収益の確保が一時期話題となった。ハイリスク・ハイリターンの金融商品を保有する大学もあったが、リーマン・ショック時、100億〜200億円規模の損失を計上した大学法人が続出。最近は国債など、むしろ安全資産で運用している大学法人がほとんどとなっている。

とはいえ、資産をうまく活用して収益をあげれば、授業料の値下げなど学生への還元も実現できる。そうしたことも大学の課題のひとつとして挙げてもいいだろう。
以下ソース
http://toyokeizai.net/articles/-/184445