平家の没落をあれほど美しく書いた日本人が、なぜ?大東亜戦争について、書かないのか、書けないのか。
無常観によって滅びを捉えた「平家物語」を読み直し、動かし難い宿命的なものに翻弄された日本人たちが生きた時代を顧みる。
個人の力では抗いようのない「運命」「有為転変」「大自然」「恋」といった「もののあはれ」をめぐり、本居宣長が抱えていたニヒリズムや実存の問題について、どのように乗り超えてきたか議論する。