GDPが日本を追い抜き、国際経済や国際政治の場において明らかに日本よりも主要な地位を占めるようになった中国。近年は都市部でスマホを利用したキャッシュレス社会の進展や、「シェアサイクル」「シェア傘」などスマートシェアリング文化の普及が見られ、気の早い日本のメディアには「日本よりも進んでいる」といった論調の記事も見られるようになった。

 そんな中国において、今年5月からネットQ&Aサイト大手『知乎』に下記のような質問が登場して話題を集めた。日本人としてはツッコミどころもなくはない内容だが、下記に翻訳して引用しよう。

【タイトル】
日本は本当に三流国家に落ちぶれたのか?

【本文】
「現在の世界で一流国はアメリカしかなく、二流国は中・露・仏・英・独であり、往年は強大だった日本はいまや三流国と言うしかない。露・仏・英はいずれも政治大国であり核保有国、ドイツはEUのリーダーで経済力があり政治も悪くない」「いっぽうで日本は、核もろくに開発できない。政治においては小国にすぎないと言うしかない。周辺国とも協調できない。(略)」「他の二流国がロシアに対する態度を見ても(日本が二流の水準にも達していないことが)分かる。英仏独はいずれもロシアに厳しい姿勢だが、日本はそれができないではないか」と、先生が言っていました。日本は五大国やドイツと比べて本当にそんなに弱いのでしょうか?

これだけならネット上に浮かんでは消えるつまらない投稿だ。しかし、ここで注目すべきは、なんと上記の質問に対して中国共産党傘下の青年組織「共青団中央」の公式アカウントが6月26日付けで長文の回答を投稿したことである。

 この回答は今月初めから『中国網』『新華網』など政府系通信社のウェブ版記事にも要約版が盛んに転載されており、中国当局の「準・公式見解」だと考えてもいい。その冒頭はこんな一文ではじまる(太字は原文ママ、以下同じ)。

 <お答えします。サイトのルールにしたがって先に結論を書きましょう。日本はさまざまな問題に直面しており、また(私たち中国からは日本の)前途はとても危ういように見えますが、しかし日本がすでに「三流国」に落ちぶれた状態にあるとはさらさら言えません。>

 なんだか引っかかる言い方だが、そういうことらしい。共青団中央は引き続き、日本を三流国であると断じた質問者の投稿内容を「中国国内の若者の間ではかなり受け入れられている意見だろうが」と書いた上で、「根本的にありえない」と否定する。その後、共青団中央は国家の一流・二流は軍事力や政治力のみで判断すべきではないと主張。日本でささまざまな問題を起こしている在日米軍の駐留を許している日本は「正常な国家と言うには程遠い」とクサしつつも以下のように述べていく。

 <しかし、現代の日本は本当になにひとつ取り柄のない国家なのでしょうか?

 日本の1人あたりGDPは3万2480ドルで世界25位、日本の可処分所得は平均換算で8万6000人民元に相当する(ママ)ほか、平均寿命や新生児死亡率の数字から日本を見てください(略)。

 もちろん、一部の中国人が言う「日本人は民度が高い」などといったあいまいな噂を真面目に取り合うべきではありません。日本がこれまで多くのノーベル賞受賞者を出してきたという話についても、目下の中国の科学技術分野の爆発的な発展からすればそう遠くない未来に中国は日本に追いつくでしょう。言うまでもなく、どこかの誰かがプレゼンしているハイテクと「日本第一」(の科学力)といった話は相手にする必要もありません。ただ、一般市民の生活レベルを示すありのままの数字を虚心に見たうえで、私たちが現代の日本を本当に「三流国」と呼んで大丈夫なのか自分の心に聞いてみてほしいのです。>

以下ソース
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50460