http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ30HXG_Q7A530C1000000/

2017/5/30 18:21


 出版不況に出口はあるのか。出版取次大手の日本出版販売(日販)が30日発表した2017年3月期の売上高は、前年比2.4%減の6244億円となり4年連続で減少した。読者離れだけでなく、配送効率の悪化という要因も加わり、視界は不良だ。

 「出版輸配送の継続が危ぶまれている」。日販の西堀新二取締役は決算会見で危機感をあらわにした。前期は書籍が好調だったが、ネットでの定額読み放題サービスの台頭などの影響を受け、雑誌の売上高が減少。書店などリアルな店舗へ運ぶ出版物の物量は減る一方なのに、配送先の数はコンビニエンスストアを中心に増加し、収益を圧迫した。

 配送会社に支払う費用などを含む販売費は3.4%増の262億円に増加。トラックに出版物をどれだけ詰められたかを示す「積載率」は徐々に下がり続けており、採算割れに近い「4〜5割に低下している」(安西浩和専務)と打ち明ける。

 追い打ちをかけるようにアマゾンジャパンが取次会社を介さず、出版社から直接本を仕入れる取引を拡大。6月末で日販との取引を一部打ち切る方針を示している。

 出版市場は1990年後半から右肩下がりで、この20年間で1兆円が失われた。定期的に発行される雑誌はかつての日販にとっては大きな利益をもたらす収益源だったが、もはや「恵みの泉」の再生は期待薄。商材を検定や文具といった分野に拡大するなど雑誌に寄りかかっていた経営体質からの脱却を目指すが、道半ばだ。書店に新たな価値を提供する取り組みをさらにどれだけ具現化できるかが、出版不況脱出のカギとなる。(亀井慶一)