給油所が3カ所以下しかなかったり、最寄りの給油所まで15キロ以上離れた居住地があり、「給油所過疎地」などと呼ばれる市町村の給油所の1割弱が廃業を予定していることが経済産業省の調査で分かった。2割の給油所も事業を継続するかは「未定」とし、廃業の懸念がある。過疎地では、移動に不可欠な車のガソリンや灯油が買える給油所の役割は大きい一方、人口減による売り上げ減少などで苦しんでいる実態が浮き彫りとなった。

 経産省によると、こうした市町村は2017年3月時点で全国に約550市町村あり、経産省が実態調査に乗り出すのは初めて。三菱総合研究所に委託して給油所1436カ所にアンケート調査を行い、約7割から回答を得た。

 調査には、9%の給油所が今後について「廃業を考えている」と回答した。「継続する」は72%だが、「未定」も19%に上った。さらに、「継続」「未定」と回答した給油所の3割は、経営者の高齢化などを背景に、経営の引き継ぎについて「あてがない。後継者について自治体や元売りに相談したい」「あてがなく、事業売却を考えている」などと回答しており、経産省は、将来的に廃業に至るおそれがあるとみる。

 過去5年間の経営については39%がずっと赤字だったり、赤字に転落したりしていた。特に毎月の販売量が50キロリットル以下の給油所に限ると、人件費や物流コストが高止まりすることから55%と過半数が赤字経営に陥っていた。

 結果を受け、経産省は25日開いた元売り各社や業界団体との協議会で、各市町村に対し、地域に将来どれくらいの給油所を残すか目標を設定するよう求める方針を示した。その上で市町村には、直接経営に乗り出したり、地域の中心部への移転を後押ししたりするほか、住民と相談して灯油を配達する曜日を絞るなど、業務の効率化を主導する役割を担ってもらう考えだ。経産省は、地域の将来の需要の予測や複数の給油所を集約した場合の経済効果などの試算を示して市町村の取り組みを支援する。【岡大介】

 ◇市場縮小などを背景に半減

 石油元売りや商社などから仕入れたガソリンや灯油などを販売する店舗。ピークの1994年度末には全国で6万421カ所あったが、車の燃費向上や少子高齢化による市場縮小などを背景に2015年度末には3万2333カ所と半分近い水準まで減っている。厳しい経営環境を踏まえ、コンビニエンスストアを併設するなどサービス拡充を目指す動きもみられる。地方では、高齢者の安否確認と灯油の配送を組み合わせて生活支援の役割を担わせるなどして給油所を継続させる試みも出ている。災害時に営業を継続するため自家発電機やタンクを増強した「中核サービスステーション(SS)」と呼ばれる給油所の整備も進んでいる。

5/25(木) 20:16配信
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