11月に創立80周年を迎える節目の今年、次代も自動車産業をリードすべく布石を打ち始めたトヨタに新たな強敵が忍び寄っている。

 トヨタのライバルといえば、世界販売の首位を争う独フォルクスワーゲンや、三菱自動車も傘下に収めた日産自動車・ルノー連合のカリスマ経営者、カルロス・ゴーン氏といったところが真っ先に思い浮かぶかもしれない。だが、豊田社長の言葉通り、かつてない変革期に入った自動車産業の競争図はこうした同業の枠に収まらない。自動運転など次世代技術では既にアップルやグーグルといった米IT大手との競合の可能性も指摘されている。では、次代を見据える豊田社長の脅威となりそうな新たな相手とは?

 ヒントは(1)トヨタを株式時価総額で上回るアジアのトップIT企業(2)世界最大の自動車市場となった中国での強力な顧客基盤(3)シンボルはペンギン。

 IT業界やSNSに詳しい方はもうおわかりだろう。そう約8億人近いユーザー数を誇る中国最大のメッセージアプリ「WeChat(ウィーチャット)」を運営するテンセント(騰訊控股)だ。

テンセントの現在の収益源は巨大なSNSのネットワークを活用したオンラインゲームや決済などのモバイルサービスで、トヨタの敵とは映らない。

 しかし、テンセントの最近の投資戦略の矛先に目を向けると、景色は変わる。中国市場での自動車シェアビジネスで、世界大手ウーバーとの戦いに勝利した配車アプリの滴滴出行、EV(電気自動車)メーカーの蔚来汽車(NextEV)、位置情報サービスの北京四維図新科技(ナビインフォ)やヒア・インターナショナルなど、これらの出資先からは、まさにトヨタが目指す「未来のモビリティ社会」をにらんだ自動車市場への野心が透ける。そして、その野心をもっとも象徴したのが、3月に明らかになった米EV大手テスラへの出資だ。

 ロイター通信などによると、テンセントは17億8000万ドル(約1960億円)を投じ、テスラ株5%を取得。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)や投資会社フィデリティなどに次いで第5位の株主となった。テスラは、調達した資金を7月をめどに始める量産型EV「モデル3」の生産準備に充てるとされる。テンセントの取得株に議決権はないようだが、アナリストの間ではこの出資を機にテスラ車の中国での販売、さらには中国生産をテンセントが支援する可能性もあると、両社の連携を予想する見方が出ているという。

以下ソース
http://www.sankeibiz.jp/business/news/170508/bsa1705080600001-n2.htm