交通事故などで脊髄が損傷した人の場合、かつては回復が非常に困難であると考えられていましたが、昨今は技術の進歩により、何らかの形で回復することも可能となってきています。

今回報告されたのは、マウンテンバイクでの事故で首を骨折し胸部から下が麻痺してしまったジェフ・マーキスさんと、同じく自転車に乗っていて半回転する事故に遭遇して頭頂部から道路に落下し、医者から「再び歩ける見込みは0%とはいわないけれど、
1〜2%ぐらいでしょう」と厳しい宣告を受けたケリー・トーマスさんの事例です。

ルイビル大学ケンタッキー脊髄損傷研究センターのスーザン・ハルケマ副所長によると、この種の負傷に対する「本当の治療法」はなく、ケガをする前の状態に戻すことはできないものの、日々の生活を大幅に改善することは可能だとのこと。

マーキスさんとトーマスさんが利用したのは疼痛管理用として食品医薬品局(FDA)の承認を受けている神経刺激装置。ハルケマ氏によれば、脊髄は考えられてきたよりも脳から独立した存在だとのこと。
首を切り落とされても18カ月間生存した「首なし鶏マイク」のような事例は、脳とは無関係に筋肉に対して信号が送られているためで、
すでに、脊髄を損傷したラットを用いた研究により、外部から脊髄に刺激を与えると足を動かすことができることがわかっていました。

「自分の足で歩くことができた」とはいえ、まだ2人はトレーナーの支援が必要な状態。