2020年の東京五輪で正式競技になるスポーツクライミング。

 その種目の一つ「スピード」を体験できるウォール(壁)が、東京都昭島市の商業施設「モリパークアウトドアヴィレッジ」に完成した。これで、「リード」「ボルダリング」とあわせて五輪で実施される全3種目のウォールがそろった。運営会社によると、3種のウォールを常設した施設は国内初といい、有力選手の輩出・育成に向け、注目を集めそうだ。

 スピード専用ウォールの完成を祝い、16日には海外の実力選手を招いた競技会が開かれた。高さ約15メートル。思わず見上げてしまうようなウォールを2人の選手が競いながら駆け登っていく。

 男子選手は6秒台、女子選手でも7秒台を連発する速さで最上部に到達。その驚異的なスピードに、多くの観衆が驚嘆の声を上げた。

 このウォールは選手たちから好評で、女子部門優勝のアンナ・ツィガノバ選手(ロシア)は「文句なし。感触もいいし、すごく満足」と太鼓判を押した。男子部門に参加した世界記録保持者のダニル・ボードゥイレフ選手(ウクライナ)は「このウォールと、強くなりたい気持ちがあれば、日本はもっと強くなる」と語った。

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 東京五輪では、〈1〉ウォールを登り切るタイムを競う「スピード」〈2〉ロープをつけて登り、到達した高さを競う「リード」〈3〉制限時間内にルートをいくつ登れたかを競う「ボルダリング」――の3種目の総合成績で順位が決まる。

 モリパークアウトドアヴィレッジは2015年3月、昭和飛行機工業(昭島市)が、アウトドアに特化した商業施設としてオープン。当初からボルダリングとリード用のウォールを備え、クライミングジム会員が利用できるようにした。

 これらの評判が高かったため、同社は、スピード専用のウォールも設置することを決めた。さらに、3年後に迫った五輪本番に向け、国内でも選手強化の動きが活発化している。同社は、運営する宿泊施設も利用しながら、選手の強化合宿などに施設を提供する予定という。

 同社の担当者は「スポーツクライミングの裾野拡大に向け、世界中の人に活用してもらうと同時に、地元開催の五輪に、地元から有望な選手の輩出につながれば」と期待している。

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