高校生ら8人が死亡する重大な結果を招いた今回の雪崩事故。栃木県警は今後、現場でラッセル訓練を行った引率教諭らを業務上過失致死傷容疑に問えるかどうか慎重に判断することになる。
最大のポイントは引率教諭らが雪崩の発生を予見できたかどうかだ。

県警は26日までに引率教諭や生徒から約200回の任意聴取を行った。供述には食い違う点や記憶があいまいな点も多く、「まだ折り返し地点にもいかない」と捜査関係者は明かす。

雪崩の「予見可能性」を判断する上で重要なのは、現場の危険性の認識だ。講習会責任者で県立大田原高校の●瀬修一教諭(50)によると、訓練場所について「(経験上)絶対に安全だと思った」と説明。
しかし、発生現場の斜面を調査した専門家は「典型的な発生場所」と指摘する。

訓練実施を決めた時点で天候は「雪がぱらぱらで風はない」(猪瀬教諭)状況で、積雪は約30センチ。
天候は次第に悪化し、救助段階では吹雪になっていたという。県検証委員会メンバーの名古屋大大学院、西村浩一教授(雪氷学)の調査では、現場周辺は吹きだまりで積雪約60センチと推定。
西村教授は「どの程度の視界が確保できたのかや、雪崩の危険性を調べるテストを現場で行ったのかなど当事者の判断が問われる」と指摘する。

現場では5つの班が別行動を取っていたことが判明。各班の引率教諭の判断で行動していた可能性があり、
雪崩が直撃した1班が危険性の高い場所をルートに選んだことについて引率教諭の認識が今後の焦点になりそうだ。

雪崩事故を予見できたとすれば、次に事故を避けられたかどうかという「結果回避可能性」が問題になる。
登山計画の審査や装備、緊急連絡態勢など安全管理面で問題がなかったかについても県警は慎重に調べを進める。

http://www.sankei.com/affairs/news/170426/afr1704260028-n1.html