→ペンギンが糞を飛ばすときの圧力と飛距離を計算したイグノーベル賞研究を日本の研究者がアップデートした
→新たな研究は、噴射した糞の軌道を考慮し、より正確に噴射時の圧力を計算している
→これは水族館の飼育員が彼らの糞を避けるために、重要な知見となる可能性がある

水族館でペンギンを眺めていたら、突然すごい勢いで糞を噴射するところを目撃してげんなりした、という人は多いのではないでしょうか。

ペンギンは抱卵時期に入ると巣から離れることなく卵を守り続けます。しかし、そのまま巣の中で糞をしてしまっては大切な巣を清潔に保つことができません。

そこでペンギンは、排便の際にはお尻を突き出し尾を軽く持ち上げて糞を勢いよく巣の外へ噴射する能力を手にしたのです。

ペンギンはその力によって快適で清潔な生活を送っているようですが、周囲の生物にとっては脅威となります。下手をすれば自分にひっかかってしまうかもしれないのです。

そこで、日本の高知大学の研究者は、桂浜水族館の協力の下、ペンギンの噴射する糞の軌道まで計算に含めた、ペンギンが高い場所から排泄を行った場合の、糞の飛距離の研究をおこないました。

■ペンギンの排便に関する先行研究

今回の研究には先行研究があります。

2003年、今回とは別の研究チームがアデリーペンギンの総排泄腔から糞が噴射されたときの飛距離と、そのために必要となる腸内の圧力を計算したのです。

この研究のきっかけはMeyer-Rochow博士が日本の北里大学で行った講演でした。博士は日本の学生に南極で撮影したペンギンの巣のスライドなどを見せ解説を行い、学生たちから質疑を受け付けました。

1人の女子学生が、ペンギンの巣の周りにピンク色の放射状の線がいくつも走っているのを見て、「鳥は巣を飾りますが、ペンギンはどうやってこのように巣を飾ったのですか?」と質問しました。

博士は「ペンギンが巣の端へ行ってお尻を突き出し尾を持ち上げて糞を噴射することで、このような跡ができるんですよ」と説明しました。

会場は笑いに包まれましたが質問者の女性は赤くなって静かに座ったそうです。

しかし、博士はこの質問に意義深いものを感じました。

彼はスライドの写真を注意深く見返し、巣の周囲30〜40cmの距離に伸びた縞模様を作るために、ペンギンの体内にはどれだけの圧力が蓄積されるのだろうか、考えました。

そこで博士は同僚のGal博士とともに、これを計算する研究を開始したのです。

その結果判明したペンギンの排便の圧力は 10 kPa (0.1気圧)〜 60 kPa (06気圧) で、自動車のタイヤの半分近いものでした。これは人間が排便する場合のおよそ3倍です。

そして、糞の跡がピンク色になるのは、ペンギンがオキアミ(エビ)を食べていたためです。魚を食べた場合、ペンギンの糞は白っぽい色になり、食餌で色が変化します。

この研究によって、博士は北里大学の学生が行った質問に完璧な形で回答したのです。

ただ巣から放射状に糞の跡が伸びる理由は、ペンギンが狙ってやっているのか、風の影響なのかわかりませんでした。博士はこれは今後の研究課題だと述べています。

この興味深い研究は、意義深く笑える研究として2005年イグノーベル 流体力学賞を獲得しました。
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