→巨視的物体である40kgの鏡に量子的ゆらぎが確認された
→ゆらぎによって鏡が移動している様子が検出された
→ゆらぎの幅を最小化させる処理を行うと不確定性原理の定める位置の詳細さの限界を突破した

MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究チームによって、はじめて人間サイズの巨視的な物体に「量子的ゆらぎ」が観察されました。

量子的ゆらぎとは、物体の位置が確率的にしか存在できない状態を意味し、これまでは微視的な世界でのみ確認されてきました。

しかし7月1日に「Nature」に発表された論文によれば、200キロワットのレーザービームを40キログラムの鏡に照射することで、鏡全体を10 -20メートルの幅で量子的ゆらぎ状態にすることができたとのこと。

40キログラムといえば、小柄な女性の体重に匹敵します。

ゆらぎの幅は非常に小さいものの(水素原子の大きさは10 -10メートル程度)人間サイズの巨視的な物体に量子効果が確認されたのは、はじめてとなります。

さらに、検出装置を調整することで、ゆらぎ幅の最小値を不確定性原理によって定められた標準値を突破できました。

不確定性原理とは、物体の位置は量子のもつゆらぎや観測の影響のせいで、正確には決められないとするものですが、今回の実験ではゆらぎ幅を縮小することで、標準的な値を超える正確さで位置を決定できました。

これほどの発見を研究者たちはどうやって成し遂げたのでしょうか?

■発見に使われた検出器は元々は別目的で作られた

今回の発見に使われたLIGOと呼ばれる装置は、元々は数百万光年から数十億光年離れた場所から発生する重力波を測定するために作られました。

この検出器は非常に大規模であり、ワシントン州とルイジアナ州にあるL字型に配置された2つの検出器(それぞれ長さ4kmに及ぶもの)と交差点に置かれた40キログラムの鏡からなります。

レーザーは発射されると2つの検出器に送り込まれ、遠端の鏡に反射し、中央の鏡を介して検出装置へと送り込まれます。

もし重力波がない場合、2つの検出器に入ったレーザーは同じ時間に検出装置に入ります。

ですがもし重力波が地球を通過した場合、それぞれの検出器の位置(空間)に歪みが生じて、レーザーの到達時間に差が出ます。

そして検出装置はこの僅かな差を検出できるように非常に高い精度で設計されていました。

ですが、MITに所属するHaocun氏は、この高い精度を重力波の検出以外にも使えるのではないか? と考えたのです。

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