http://vaience.com/technology/20200117-robot-cell-living/

新たな命のサイクルにおいて自然な発達過程をたどることが許されたのであったら、カエルの胚から取り出された幹細胞は生きて呼吸をする生物の皮膚と心臓組織に分化したことだったでしょう。
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そうはならずにアルゴリズムによる設計に基づいて人工的に配置した形状になるように幹細胞は新種の何かに組み立てられました。この何かが、生きている細胞だけで構成された史上初めてのロボットです。

制作者たちはこれをゼノボットと名付けました。500個〜1,000個の細胞を配置して作った小さなサブミリ波サイズの塊であるゼノボットはシャーレの中で活発に移動し、自己組織化するばかりでなく、微小な荷物を運ぶことさえできました。これはどんな生命体にも似ておらず、また、今日までに人間が遭遇したことがあるか作成したことがあるどんな臓器とも異なっています。

標的化する薬物送達から環境改善に至るまで様々な用途のために設計された、特注の生きている機械の可能性というものを考えてみると極めて刺激的です。

「ゼノボットは斬新な生きた機械です」と米ヴァーモント大学のコンピュータ科学者であり、ロボット工学者であるジョシュア・ボンガード氏は述べています。
https://www.uvm.edu/uvmnews/news/team-builds-first-living-robots

「従来型のロボットでもなく、既知の動物種でもありません。まったく新しい種類の人工物でありながら、プログラミングができる生きた有機体でもあるのです」

ゼノボットを設計するためにはスーパーコンピュータを使うことが必要となりました。また、仮想空間で数百個のカエルの心臓細胞と皮膚細胞を異なる形状(どことなくレゴのブロックに似ている)に組み立てて結果をシミュレーションすることのできるアルゴリズムも必要でした。
https://www.youtube.com/watch?v=aQRBCCjaYGE

研究者たちが運動などの望む結果を指定するとその結果を果たすことを目的とする候補をアルゴリズムが作り出しました。

最も成功からほど遠い細胞の形状は候補から外し、最も望む結果に近い特徴を示した形状は残して改良。これ以上改善できないという形状になるまで、この過程を続けました。

そうして、研究チームはアフリカツメガエル(学名:Xenopus laevis)の胚から採取した細胞で物理的に構築するのに最も有望なデザインを選定。構築は微小鉗子と微小電極を使って行う、緻密な作業でした。

ついに配置が完成すると、細胞の塊たちは実際にシミュレーションの通りに動き回ることができました。皮膚細胞は塊の各部分を支えるための足場のような役割を果たし、心臓の筋細胞の収縮はゼノボットを推進させます。

ゼノボットは脂質とタンパク質の形で「あらかじめ搭載されている」貯蔵エネルギーが動力源となったので栄養補給をする必要がなく、最長1週間、水中で動き回っていました。

水中での抗力を減らす試みとして中央に穴を開けた形状のゼノボットがひとつありました。研究チームがデザインを検討している際、この穴を荷物入れにして物を運搬するように外適応させることが可能かもしれないと研究者らは気づきました。荷物入れを形状に取り入れてシミュレーションしたところ、ゼノボットは物体を運搬することができました。
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現実世界でもゼノボットは物体を移動させました。粒子が散らかった環境に置くと、ゼノボットたちは自然発生的に協力し合い、円を描くように動きながら微粒子を押して1ヶ所に集めたのです。

これは魅了される仕事ぶりです。研究者たちによると、ゼノボットたちの活動は細胞同士がどのように意思の疎通を図り、協力するのかということに関して貴重な洞察を与えてくれるということです。

reference:sciencealert
https://www.sciencealert.com/scientists-have-built-robots-entirely-out-of-living-frog-cells
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