2019年12月23日
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 中国で “人工太陽”に火が灯ろうとしている。太陽で起きている反応を再現する核融合装置が完成しようとしているのだ。

 2020年には核融合炉の運転が可能になるそうだ。

 その人工太陽のプラズマの温度は最高で2億度になると予想されている。太陽核の温度が約1500万度とすると、その約13倍だ。

 これが本当に成功すれば、ほぼ無限で、しかもクリーンな夢のエネルギーが実現するという。

人工太陽が2020年に稼働予定
 その装置は「トカマク型HL-2M」といい、中国科学院のEAST(先端超電導トカマク実験装置)プロジェクトの一環として開発されている。

 今年3月、中国核工業グループから年末までにHL-2Mの建設を完成させると発表があった。11月になされた新華社の報道によれば、6月にはコイルが取り付けられ、それ以降作業は順調に進んでいるとのことだった。

 そしてさらに、2019年中国核融合エネルギーカンファレンスでは、2020年中にはHL-2Mの運転が可能になるだろうと、核工業西南物理研究院から発表があった。

核融合――太陽を地球上で人工的に再現する
 核融合はあの燃え盛る太陽で起きている反応だ。2個の軽い原子核が融合して、より重い1個の原子核が形成される現象で、このときに大きなエネルギーが放出される。

 太陽の場合、水素原子が融合してヘリウムとなり、それによってコアはおよそ1500万度に達する。

 これを人工的に再現するには、燃料(水素の1種)を1億度以上にまで加熱する。すると燃料は超高温のプラズマに変わるので、今度はこれを閉じ込めておかなければならない。

 そのための装置がトカマクというドーナツ状の真空容器だ。トカマク型磁気閉じ込め方式では、磁場によってプラズマを安定させて、核融合が継続的に発生するよう保つ。

 安定した核融合が実現できれば、そこから得られるエネルギーはこれまでの発電装置の比ではない。

太陽の13倍、2億度のプラズマを生み出す
 英国原子力公社の専門家によると、HL-2Mが優れているのは磁場の柔軟性なのだそうだ。

 HL-2Mは2億度という太陽の13倍もの超高温に達する。これほどの熱の他に、粒子までもが発生するために、プラズマが反応炉の内壁に触れると、そこを損傷させてしまうという問題があった。

 トカマク型などの磁気閉じ込め方式は、核融合による排熱と粒子を数センチから数ミリ程度しかない狭い層に封じ込めてしまうことで、内壁の損傷を防ぐ。

 そのおかげで反応炉を高エネルギーで作動させても、内部を壊してしまうことなく運転することができる。
https://www.youtube.com/watch?v=t9XCEwC4tDM

現在、来年の運転へ向けたテスト中
 専門家によると、HL-2Mの初期段階では、システム各パーツの個別テストなどが行われるだろうという。それからシステム全体がテストされる。

 テストが完了した時点で、今度は低負荷でのプラズマ生成へと移行。最適なプラズマ生成を検証し、信頼性と操作性の改善を図りながら、徐々に高負荷での稼働へとステップアップしていく。

 この実験からは、核融合炉を実用化するにあたって最大の障害とされる、排熱と粒子の効果的な処理方法を編み出すヒントになる、貴重なデータが得られるだろうと期待されている。

References:xinhuanet / futurismなど/ written by hiroching / edited by parumo
http://www.xinhuanet.com/english/2019-11/26/c_138584676.htm
https://futurism.com/the-byte/new-artificial-sun-china