2019年12月10日 10時40分
https://sp.hazardlab.jp/know/topics/detail/3/2/32347.html

ニュージーランド北島で9日に発生した火山島の噴火により、これまでに5人の死亡が確認された。警察によると、複数のヘリコプターと空軍機が上空から捜索を続けているが、生存者はいないという見解を示している。

 噴火が発生したのは日本時間9日午前10時11分(現地時間同日午後2時11分)、ニュージーランド北島のプレンティ湾に浮かぶホワイト島の活火山が爆発し、火口周辺に訪れていた観光客が巻き込まれた。

不明者8人は絶望的

 ニュージーランド警察によると、当時、火口周辺には50人近い観光客がおり、5人が死亡、23人がヤケドなどのケガを負ったが、救助艇で、対岸の港町ファカタニの病院に搬送された。

 最新の発表で、連絡が取れない不明者は少なくとも8人いるとみられているが、これまでの捜索の結果、生存者の発見は絶望的だという。

噴煙は3600メートル上空に到達した(ニュージーランド警察New Zealand Police)
https://sp.hazardlab.jp/contents/post_info/3/2/3/32347/white_island_3.png

本土への影響は低い

 同国地震調査機関GeoNetの火山監視チームは、「きのうの噴火以来、火山性地震の活動は低下しており、今後24時間で同規模の爆発が発生する可能性は低いが、火口からは今も水蒸気と熱泥が噴出し続けている」として、警戒レベル3と航空カラーコード「オレンジ」を維持している。

 ホワイト島から最も近い対岸の港町までは48キロの距離があり、今回の噴火によって火山灰が降る可能性は非常に低いものの、風向きによっては、二酸化硫黄を含む有害な火山ガスが本土に到達するおそれがあるという。

 ホワイト島では、2012年8月から2016年9月にかけても噴火が発生しており、以来、火山活動の変化は24時間体制で監視されていたが、今年8月上旬ごろから火口湖の水位が徐々に上昇し、間欠泉のように熱水が噴き上がる現象が観測されていたことから、GeoNetは先月中旬、警戒レベルを2に引き上げていた。

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ふだんの観光ツアーの様子(Andrew D. Bird)