11/18(月) 12:10配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191118-00010000-yom-sctch

月へ宇宙飛行士を送り込む米国の探査計画「アルテミス計画」について、日本政府は先月、正式に参加を表明した。実現すればアポロ計画以来の歴史的な出来事となるこの計画に、日本は物資補給などの得意分野で貢献する方針だ。宇宙開発での技術向上を目指すとともに、将来は日本人宇宙飛行士が月面探査に加わることも視野に入れている。(冨山優介)
「人類再び月へ」米計画に日本が協力…日本人飛行士の月面探査も視野に

月の軌道を周回する有人基地「ゲートウェイ」を拠点に

 アポロ計画では、1969年から72年にかけて計12人の米国人宇宙飛行士が月面を探査した。だが、その後は半世紀近く有人探査活動が途絶えている。

 「偉大なアメリカ」の復活を掲げる米国のトランプ大統領は2017年12月、米国の宇宙飛行士による月探査の構想を明らかにした。月の軌道を周回する有人基地「ゲートウェイ」を建設し、この基地を拠点に、飛行士が月へ降りる構想だ。

 米国は月を火星探査に向けた「中継点」と位置づけている。月探査は科学的知見の収集だけでなく、ロケット燃料となる水素を作るための水を確保できないか調査する目的もある。

 当初の計画は26年頃にゲートウェイを完成、28年に飛行士が着陸する予定だったが、今年3月、24年までに着陸を実現させるようスケジュールが4年前倒しされた。日本のほかにカナダが参加を表明しており、近く欧州も参加を決定する見通しだ。
トヨタとJAXA、月面探査車を開発へ

 ゲートウェイは、月から最も離れた距離が7万5000キロ・メートル、短いところで数千キロ・メートルの極端に細長い楕円(だえん)の軌道を回る。

 米航空宇宙局(NASA)の計画では、22年に動力部分などを打ち上げ、24年までに居住部分など必要最低限の施設を作る。日本は居住部分の空調など、生活に必要な環境を維持する技術を提供する。国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」で技術を磨いた分野だ。物資輸送でも、無人補給船「こうのとり」の後継機として開発中の「HTV―X」を活用する。

 また、日本独自の無人着陸機「SLIM(スリム)」を21年度に月へ到達させる予定で、月面のデータや、精密着陸の技術でも貢献する考えだ。

 このほか、月面探査車の開発も協力項目に盛り込んだ。当面は宇宙服を着た状態で運転する探査車の開発を進める。その後、30年代の実用化を目指し、宇宙航空研究開発機構=JAXA(ジャクサ)=とトヨタ自動車が宇宙服なしで乗れる探査車の開発を進めている。

 先月18日、計画への参加を決定した政府の宇宙開発戦略本部の会合で、安倍首相は「きぼうやこうのとりで培った我が国の強みを生かす」と強調した。

 一方、計画の全体像が不明確な現段階では、協力する内容を4分野に絞ることで一定の線引きをしたといえる。日本の負担額は未定だが、政府が決定した参加方針には「費用対効果」に留意することも明記された。政府の宇宙政策委員会の中須賀真一委員は「どこまで協力できるかはこれからの検討課題だ」と説明する。

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