NASAの火星着陸機インサイトが、搭載するセンサーが捉えた"風の音"を送り届けてきました。火星の風景写真はもはや珍しいものではなくなりつつありますが、風の音を聴くのは新鮮な体験です。

日本時間11月27日の火星に着陸して以来、インサイトは地震計と地中に打ち込む熱伝導センサーの準備を継続しています。またそれと同時にいくつかの写真を送ってきていました。今回、インサイトが届けたのは火星の風の音。
より正確には、地震計と気圧計がそれぞれ、火星の地表でノイズとして拾ったデータです。地震計は風によって発生した振動を捉え、気圧計は空気が流れる際の振動を直接、検知していました。インサイトミッションの主任研究員Bruce Banerdt氏は「この音声取得は計画外の嬉しい出来事でした」と述べています。その振動を起こしたときの風速は10〜15mphほどだと見積もられます。

NASAは公開した動画からは両方のセンサーが拾った音声をそれぞれ実際に聞いてみることが出来ます。ひとつめは、地震計が太陽電池パネルから拾った振動を音声に加工したもの、2つめはこの音声が非常に低い音域であるため、周波数を2オクターブ上げて聞き取りやすくしたもの。そして3つ目は気圧計が拾った風の音です。

■動画:ひとつめ
Raw Sounds from InSight's Seismometer on Mars https://youtu.be/P5M4ZdFcJd0

■動画:2つめ
More Audible Sounds from InSight's Seismometer on Mars https://youtu.be/IkpZXYrOCyg

■動画:3つめ
Sounds from InSight's Pressure Sensor on Mars https://youtu.be/o3cxuIsEFRM

気圧計の音が一番聞き取りやすいとは思いますが、地震計が風の音を拾えるのはインサイトミッションでも今のうちだけなので、希少性があるかもしれません。というのも、地震計は今はまだインサイト探査機本体に乗ったままなので、太陽電池パネルの振動を拾えるものの、地面への設置が完了し、地震音に耳を澄ますようになれば、そのセンサー部は外気から密封されてしまいます。

しかし、このように他の惑星での音が伝えられるというのは画期的なことと言えるでしょう。いまはまだこれだけですが、近い将来 Mars 2020ローバーが火星に降り立てば、搭載する2本のマイクがより鮮明な火星の環境音を拾ってくれるようになるはずです。

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https://japanese.engadget.com/2018/12/08/2/