【10月31日 AFP】
太陽系の外にある惑星(系外惑星)を探すために2009年に打ち上げられた米航空宇宙局(NASA)のケプラー(Kepler)宇宙望遠鏡が、燃料切れのため9年間に及んだ観測運用を終了する。当局が30日、明らかにした。ケプラー宇宙望遠鏡で発見された系外惑星は2600個に上り、その一部には生命が存在する可能性もあるという。

 宇宙空間に莫大な数の見えない惑星が存在することを明らかにしたケプラー宇宙望遠鏡は、宇宙に関する人類の理解を大きく変えたと、専門家らは指摘している。

 ケプラー宇宙望遠鏡は、惑星が恒星の前を横切る際に星の光が減光される現象「恒星面通過(トランジット)」を検知し、新たな惑星を探す天文学者らに情報を提供してきた。

 NASAは、「夜空に見える星の20〜50%は、そのハビタブルゾーン(生命生存可能領域)内に、小さな惑星を有していると考えられ、それらの惑星が、地球と同じくらいの大きさで、岩石質である可能性もある」ということが、ケプラー宇宙望遠鏡によって判明したと指摘している。

「これは、主星からの距離が、惑星表面に液体の水が存在できると考えられる程度離れていることを意味する。液体の水は、知られている形態の生命に不可欠な構成要素だ」との説明を付け加えた。

 NASAの天体物理学部門を統括するポール・ヘルツ(Paul Hertz)氏は、ケプラー宇宙望遠鏡の機能停止は「予想外のことではなかった」としながら、これで「宇宙探査機の運用終了」となると報道陣との電話会議形式の取材で述べた。

 燃料切れが近い兆候は2週間前からみられていた。

 科学者らは燃料が完全に枯渇する前にすべての観測データをケプラーから地球に送信することができた。NASAはまた、ケプラー宇宙望遠鏡を「地球から離れた、現在の安全な軌道内で」運用を終了させることに決めたとしている。

 ケプラー探査計画の主任研究者を務めた経験を持つウィリアム・ボルッキ(William Borucki)氏は、ケプラー計画を「大いなる成功」と表現し、「銀河系内の恒星を上回る数の惑星が存在することを、ケプラー計画は明らかにした」と話した。

■「道を開いた」

 ケプラー探査計画は終わるかもしれないが、その発見内容の分析は今後数年にわたって行われる見通しだと、NASAは述べている。

 4月に打ち上げられたNASAの次世代トランジット系外惑星探索衛星「TESS(テス)」は、ケプラーよりはるかに広範囲の宇宙領域を探査する予定だ。TESSは地球からの距離30〜300光年の範囲にある太陽系近傍の系外惑星を重点的に観測する。

 今回の運用終了を受けヘルツ氏は、「ケプラー望遠鏡のおかげで、宇宙全体の中で地球が占める位置に関する考え方が変わった」としながら、「ケプラーミッションは将来の系外惑星探査ミッションのための道を開いた」とコメントした。(c)AFP/

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