はじめにブラックホールというと、周りの天体すべてを飲み込み、光さえも飲み込んで2度と外に戻ることがないイメージがある。例えば地球を脱出して宇宙に飛び出すためには、秒速約11キロメートルの速度が必要である。ところがブラックホールの場合は最低でも光の速度、秒速30万キロメートルの速度を出しても外に抜け出せないということになる。

 また地球をブラックホールにしようとすると、質量は同じでも直径が2センチメートルのビー玉くらいの大きさになるという。同じように太陽の場合で考えると、直径6キロメートルにギュウギュウにつぶすと太陽質量のブラックホールになると計算できる。つまりブラックホールは、とても重くてとてつもなく密度が濃いことがわかる。

 そのような異常な天体ブラックホールであるが、大きく分類分けすると、普通の恒星質量のブラックホール(太陽質量の10〜数十倍)、銀河の中央に輝く超巨大ブラックホール(太陽質量の100万倍以上)、そしてその中間の質量のブラックホールと3種類あると言われている。今回は「中間質量ブラックホール」を発見するという研究が、2つのチームで行われたとNASAが10日に発表した。

 近年、いくつかの中間質量ブラックホール(以下、IMBH)が報告されている一方で、天文学者たちの中には否定的な意見もある。いまだIMBHは特別なものではなく、超巨大ブラックホールの形成の一部であるという見解を持っている。

 IMBHは、可視光での観測は不可能なため、X線を使って行われる。今回の観測は、NASAのチャンドラX線観測衛星やESA望遠鏡のデータを使って行われた。

 研究の1つを率いたスペインの宇宙科学研究所のMar Mezcuaは、矮小銀河(天の川銀河の100分の1)の中に40個の成長するブラックホールを確認した。そのうち12個は地球から50億光年以上の距離にあり、最も遠く離れた場所は109億光年離れている。これまで発見された矮小銀河の中で、最も遠くで成長しているブラックホールであるという。これらのほとんどは、太陽の約1万〜10万倍の質量を持つIMBHである。

 マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード・スミソニアン宇宙物理学センター(CfA)のイゴール・チリリアン教授が率いる第2のチームでは、近くにある銀河において、IMBHの可能性がある重要なサンプルを見つけた。最も遠いIMBH候補は地球から約28億光年であり、発見したIMBH候補の約90%は13億光年離れている。305個のIMBH候補のうち約半分が有効なIMBHである可能性があることが示された。X線観測で検出された線源の質量は、太陽質量の4万〜30万倍であるという。

 1つ目のチームの研究結果はRoyal Astronomical SocietyのMonthly Noticesの8月号に、2つ目のチームはThe Astrophysical Journalにそれぞれ掲載されている。

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財経新聞
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