街頭犯罪の発生日時や場所といったビッグデータを人工知能(AI)で分析する犯罪発生予測システムの導入に向け、
国や各地の警察が検討を始めた。予測を基に効果的な防犯活動が望めることから、システム開発に期待が掛かっている。
 「欧米では既に犯罪抑止に効果を挙げています」。データ分析会社代表の梶田真実さん(35)は力を込めて語る。
AI予測で犯行可能性が高い地域を警察が重点的にパトロールした米国の複数の都市では、
犯罪件数が平均で約2割も減少したという。梶田さんはこの日本版を作るべく昨年、会社を設立した。
 大学で理論物理学を研究していた梶田さん。

同じく研究者の夫の転勤に伴い暮らしたイタリアで、すり被害にたびたび遭い、
「地域の事情が分からないと犯罪に巻き込まれやすい」と実感した。自然現象を数式で説明する自身の研究手法を、
防犯に生かせないかと考えた。
 目を付けたのが、警視庁が管内の痴漢や窃盗の発生、不審者情報などを配信する「メールけいしちょう」。
このデータを抽出し、独自のアルゴリズム(演算手順)を使って、犯罪が発生する可能性の高い地域を予測した。
限られたデータでの予測だったが、実際の発生場所とおおむね重なった。
 天候や交通量、ツイッター投稿などの情報を重ね合わせることで、さらに精度は高まるとみられる。
梶田さんは「日本特有の犯罪メカニズムについて検証を続ける必要がある」と説明する。
 警視庁が開催した情報通信技術(ICT)活用の有識者研究会も、梶田さんら専門家の意見を聴取。
今年4月、犯罪予測などが「犯罪を未然に防ぎ、体感治安の向上にもつながる」として、
ビッグデータ活用を促す提言書をまとめた。
 まずは警察官の巡回時の利用を想定するが、一般向けの活用も見込まれる。
梶田さんは「住民用のスマートフォンアプリを作り、少しでも犯罪を減らしたい」と意気込んでいる。
(2018/06/23-14:50)

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時事ドットコム
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