インターステラテクノロジズ(IST)は4月30日、同日予定していた「MOMO」2号機の打ち上げを見送り、
5月3日以降に延期すると発表した。

ISTは4月29日に予定していた打ち上げを延期し、30日以降の打ち上げを目指すと発表していた。
29日に行われた記者会見では、「打ち上げの延期原因はレギュレータ(調圧弁)まわりの設計ミス」と説明され、
問題の解決にはそれほど時間は要さないと見込まれていたが、4月29日の23時に行われたGo/NoGo判断の結果、
再度延期を決定する形となった。

なお、ISTによると、30日6時より、改めて会見を開く予定としており、
その場にて、現在の作業状況や今後の見通しなどが語られる模様だ。
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■不具合原因はレギュレータまわりの設計ミス
https://news.mynavi.jp/article/20180429-624206/

同社によれば、機体を立てた状態のまま再点検を行ったところ、窒素ガスのリークが確認できたという。
MOMO2号機では、エタノールや液体酸素などの供給を制御する空圧バルブに、窒素ガスを使用しており、
窒素タンクを機首部分に搭載している。リークで圧力が下がれば、バルブの開閉が正常に行えなくなる恐れがある。

これは、初号機から変更を行っていた場所だった。初号機では、窒素ガスをロール制御とバルブ駆動に使用。
それぞれで必要な圧力が異なるため、レギュレータを2つ直列につなぎ、ガス圧を2段階に下げて、それぞれで用いていた。

しかし2号機では、ロール制御が別方式になった結果、窒素ガスはバルブ駆動のみに使用。
2種類のガス圧がいらなくなったので、レギュレータの1つは廃止し、1つだけになっていた。

短時間の会見だったため、詳細までは確認できなかったのだが、今回の不具合は、レギュレータが1つになった結果、
ある特定の条件下で起きるようになったものだという。窒素ガスを開閉する電磁バルブの安全弁が作動し、
そこからリークした模様だ。

ちなみに事前に実施したリハーサルでは、やはり窒素ガスのリークは起きていたのだが、
配管からのリークも同時に起こっていたため、その対処のみを実施、今回の不具合を見逃してしまった。
配管の改修後、再度リークのチェックをしたが、このときは機体を横に寝かしており、この条件下だとリークは起きなかった。

対策として、レギュレータの構成を実績のある初号機に戻す。
レギュレータを1つ追加し、配管をつなぎ直すことになるが、部品は初号機の予備品が残っているため、
改修にそれほど時間は要さない見込み。

昼以降のウィンドウもあるようだが、朝のウィンドウを逃した場合は、随時発表するとしている。
なお、改修後に試験を行うため、その結果次第では、4〜5月の打ち上げは諦め、月単位で延期する可能性もあるとのこと。

稲川社長は、「この1か月ずっと不具合対応をやってきて、もう万全だと思っていたが、隠れていたミスがあった。
ロケットは難しいと日々思っているが、改めて難しいことが分かった」と述べる。
ただ、「我々は観測ロケットの商業化が目的。
いつかは出る不具合だったので、早めに見つかったのは良かった」と、前向きに捉えた。

なお、打ち上げの見学場所であるが、有料見学会場の「SKY HILLS」はもともと今日までの予定だったため、
30日以降の解放は無い。入場できるのはメディアや関係者などに限られるため注意して欲しい。

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マイナビニュース
https://news.mynavi.jp/article/20180430-624282/