「国際日本研究」に関わる全国の大学や研究所など11機関による連携組織
「国際日本研究コンソーシアム」が設立された。
呼びかけた国際日本文化研究センター(京都市西京区)で3月中旬に発足式があった。
また、日文研の所蔵資料が世界最大の書誌データベース上で今月から提供され始め、
グローバル時代の中で世界的に日本研究を深める取り組みが進みそうだ。

 「ここ30年で、とりわけアニメやコミックといった日本の大衆文化を違った角度から分析する海外の動きが広がった」。
発足式であいさつした日文研の小松和彦所長は語った。
既存の学問の枠にとらわれず、海外の視点を取り入れて日本を新たに見つめ直す「国際日本研究」は、
1987年に設立された日文研が先導してきたテーマ。
「その蓄積を生かしながら、若手育成の努力を図り、生産的な意見を出し合ってほしい」

 2000年代になり、
大学や研究機関で「国際日本研究」や「国際日本学」を冠した研究所や大学院課程の設置が目立つようになった。
しかし、こうした機関の連携を図る組織がなく、研究や教育体制が個別に模索されてきたという。

 コンソーシアムには京都大アジア研究教育ユニットや立命館大アート・リサーチセンターのほか、
東京大国際総合日本学ネットワーク、東北大大学院国際文化研究科など11機関が加盟した。
発足記念のシンポジウムは「『国際日本研究』と教育実践」と題し、加盟機関の代表や研究者が参加。
明治大の国際日本学部長を務めた横田雅弘教授が
10年で模索した教育体制を報告するなど研究者3人による講演と総合討論があった。

 今後は昨年5月にあった設立準備会主催のシンポ「なぜ国際日本研究なのか」の報告書を刊行し、
7月に2回目のシンポを開く予定。

 国境を越えた日本研究を活発に進めるために日文研が所蔵資料の提供を始めたのは、
世界170カ国で構成される米国の図書館情報サービスNPO組織「OCLC W0rldCat」。
1月からこのデータベース上で日文研が所蔵している文献約35万件の書名や著者名などを検索できるようになり、
今月から求めに応じて内容のコピーなど情報提供サービスを始めた。

 日本の図書館で、
この組織に目録提供しているのは国立国会図書館や早稲田大図書館などに限られ、
国立大・研究所では初という。
日文研は「海外の日本研究者がより手軽に情報を手に入れることができるような体制を整え、
世界の日本研究推進に寄与していきたい」とする。

京都新聞
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20180418000118