静岡大は12日、宇宙と地球の間で人や物資を運ぶ「宇宙エレベーター」の実験で、
輸送用の昇降機が伝うケーブルが宇宙空間で20〜30メートル伸びたとみられると発表した。

 ケーブルは最大100メートル伸ばす計画で、「実験は半分成功した」としている。

 宇宙エレベーターは、宇宙と地球の間に長さ数万キロのケーブルを渡し、
ロケットに頼らずに人や物質を往復させる未来の技術で、
工学部の山極やまぎわ芳樹教授や能見公博教授らのグループが研究を続けている。

 静大は2016年12月、国際宇宙ステーション(ISS)から、
大学が製作した衛星「STARS(スターズ)―C」(愛称・はごろも)を宇宙に放出。
衛星は約10センチ角の箱を二つ合わせた形で、
片方の箱の内部に合成繊維製のケーブル(直径0・4ミリ)を巻いた状態で収納している。
宇宙空間で二つの箱を分離し、片方の箱に向かってケーブルを伸ばしながら、
宇宙エレベーターの実用化に必要な基礎データを集める計画だった。

 実験では、宇宙でケーブルが伸びる様子を撮影し、
衛星の位置情報を全地球測位システム(GPS)で取得する予定だったが、通信状況が万全でなく、
どちらも失敗だった。

 ただ、米戦略軍が一般公開している通信データから、
ケーブルが20〜30メートル伸びたと推測できたという。
衛星は、3月2日夜から3日未明にかけて大気圏に再突入し、燃え尽きた。

 山極教授は12日、浜松市中区城北の浜松キャンパスで行った報告会で、
「静大初の衛星を完成させ、最後まで運用を行った。最低限のことはできた」と話した。

 静大では今年度中に、能見教授らのグループが、
別の二つの超小型衛星の間にケーブルを伸ばし、それに沿って昇降機を移動させる実験を行う予定だ。

図:宇宙エレベーターの実験のイメージ図
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20180412/20180412-OYT1I50055-N.jpg

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読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/science/20180412-OYT1T50140.html