ニューヨーク大学メディカルスクールの病理学者らが2018年3月27日付けのScientific Reportsで、
これまで「体中の皮膚の下にある密度の高い結合組織」だと思われていたものが、
「液体を運ぶ」「衝撃を吸収する」という役目を持つ「器官」であることを発見したと発表しました。
この発見は、人体への新しい理解を示すだけでなく、
「なぜガンは特定のエリアで広まりやすいのか?」ということを説明するとのこと。

Structure and Distribution of an Unrecognized Interstitium in Human Tissues | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-018-23062-6

Newfound 'organ' had been missed by standard method for visualizing anatomy | EurekAlert! Science News
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-03/nlh-nh032318.php

Scientists Just Discovered A New Human Organ, And It Could Have Huge Implications For How We Treat Cancer | IFLScience
http://www.iflscience.com/health-and-medicine/researchers-accidentally-discover-what-could-be-an-entirely-new-organ-in-the-human-body/

Scientists discover new organ that acts as a built-in shock absorber | Daily Mail Online
http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-5551189/Scientists-discover-new-organ-spanning-ENTIRE-human-body-acts-built-shock-absorber.html

「間質」と呼ばれる部分は、存在が確認されているものの、これまで器官であると認識されてきませんでした。
間質は皮膚の下や、消化管・肺・動脈・静脈・筋肉など、体のさまざまな部分に存在します。
人間の体は大量の液体を有しますが、そのうち半分は細胞内にあり、心臓、血管、リンパ節、リンパ管、と並んで、
間質にも液体が含まれていることは、これまでの研究で明かされていました。
https://i.gzn.jp/img/2018/03/29/newfound-organ/001.png

コラーゲンとエラスチンという2種類の結合組織タンパク質でできている間質は、
これまでは化学処理して固定した状態で観察されていましたが、
研究チームは共焦点レーザーエンドマイクロスコープと呼ばれる技術を使った高性能の顕微鏡で、
ヒトの胆管の「生きた」健康な組織を蛍光液に浸して調べました。
すると、これまで固体のように見えていた部分が、液体で満たされていることが観察できたといいます。
間質の中では液体が流動し、リンパ系へと液体を運んでいるとのこと。
また、間質が液体の「ハイウェイ」として機能するとすれば、ガンがどのように広まるかの理解を深め、
病気の発見・治療に役立てることも可能であると研究チームは見ています。

器官の定義は「組織が集まり、特定の生理機能をいとなむ部分」です。
研究者らは、間質が液体を運ぶ「ハイウェイ」として機能していること、
そして組織が動いたり力を受けたりする部分では「衝撃吸収」という役目を持っていることから、
このような機能は他に見られないとして、間質を「器官」であると主張しています。
これまで「人体最大の器官」と考えられていたのは皮膚であり、体重の16%を占めていますが、
間質が器官として認められれば、皮膚を越えて人体で最大の器官となるとのことです。

ただし、この現象が体の他の部分でも見られるのかどうかなどは、さらなる研究を必要とするところ。
間質が「器官」と位置づけられるかどうかについても検討が必要とのことです。

GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20180329-newfound-organ/