エッセンシャルオイル(精油)とは、植物の体内で作りだされる揮発性の油のことです。
抽出したエッセンシャルオイルはさまざまな化粧品や薬品に香料として使われたり、
原液を治療・美容効果を期待して使用されたりしますが、
「エッセンシャルオイルには男児の胸を大きくしてしまう場合がある」という研究結果が発表されています。

Chemicals in lavender and tea tree oil appear to be hormone disruptors | Endocrine Society
https://www.endocrine.org/news-room/2018/chemicals-in-lavender-and-tea-tree-oil-appear-to-be-hormone-disruptors

More evidence essential oils 'make male breasts develop' - BBC News
http://www.bbc.com/news/health-43429933
https://i.gzn.jp/img/2018/03/19/essential-oils-make-breasts-develop/00_m.jpg

「ラベンダーやティーツリー由来のエッセンシャルオイルの使用が、
男児の異常な胸の膨らみと関連しているのではないか?」という疑いは以前から存在していましたが、
新たにエッセンシャルオイルの含まれる8種類の化学物質が男性ホルモンを阻害していることが判明しました。

男児の胸が女性のように肥大化してしまう現象は「女性化乳房」といわれており、
大きな原因はホルモンバランスの乱れと考えられています。
今回の研究でエッセンシャルオイルが阻害すると判明したホルモンは、「テストステロン」という男性ホルモンの一種です。
また、エッセンシャルオイルには女性ホルモンであるエストロゲンを増強する作用もあったとのこと。

研究を主導したノースカロライナ州国立環境衛生研究所(NIEHS)のタイラー・ラムゼイ氏は、
「植物由来のエッセンシャルオイルは安全なモノであると考えられがちだが、
実際はエッセンシャルオイルに含まれる数々の化学物質が、
ホルモンバランスを乱す危険性を持っている」と警鐘を鳴らしています。

男児の女性化乳房症例の増加は、エッセンシャルオイルを男児の体に塗りたくる人々の増加と関連していると考えられており、
症状のほとんどはオイルの塗布を中止した後に収まるとのこと。
研究では、ラベンダーとティーツリーのエッセンシャルオイルに含まれる数々の化学物質のうち、
8つの重要な化学物質について調べました。

ラベンダーとティーツリー両方に含まれる化学物質は、
「シネオール」「テルピネン‐4‐オール」「リモネン」「テルピネオール」の4種類。
それ以外の「酢酸リナリル」「リナロール」「アルファ - テルピネン」「ガンマ - テルピネン」は、
ラベンダーとティーツリーいずれか片方に含油されているとのこと。

研究チームはヒトのガン細胞を対象に化学物質の及ぼす変化を分析し、
これらの化学物質が男性ホルモンを阻害し女性ホルモンを促進する効果を発揮したと発表しています。
ラムゼイ氏は「これらの化学物質は65種類のエッセンシャルオイルにも含まれており、
さらに研究する必要があります」と述べています。これらのエッセンシャルオイルの長期的使用による影響については、
記事作成時点では未確認とのこと。

「もちろん、エッセンシャルオイルを使用した全ての男児に女性化乳房症例が現れるというわけではなく、
化学物質から受ける影響には個人差があるほか、
発症に至った例では過剰にオイルを塗布している可能性もある」と
ケンブリッジ大学の小児科医名誉教授のローアン・ヒュージス教授は語っています。

なお、アロマセラピー貿易評議会のエッセンシャルオイル使用のガイドラインには、

1:高濃度のエッセンシャルオイルを使用するときは、注意してください
2:原液を皮膚に直接塗布しないでください
3:妊娠している場合は、医師や助産師、アロマセラピストの診断を受けてから使用してください
4:3歳未満の子どもには絶対に原液を使用しないでください
5:適切に使用した場合、エッセンシャルオイルとアロマセラピー製品は全ての人々にとって安全です

と記されています。

GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20180319-essential-oils-make-breasts-develop/