肥満には糖質制限より脂質制限が有効

「Cell Metabolism」オンライン版に8月13日掲載されたこの知見は、
米国立衛生研究所(NIH)の研究者らが、肥満の成人19人の減量状況を追跡して得たもの。

 今回の対象は、平均BMIが約36の肥満成人19人(うち男性10人。
米国では30以上を肥満、日本肥満学会の基準では25以上を肥満と定義している)。
 対象者には、NIC臨床センターの「メタボリックユニット」に数週間入院してもらい、はじめの2週間は脂質制限食を摂取し、
続く2週間は糖質制限食を摂取してもらった。
 どちらの場合も、最初の5日間は糖質50%、脂質35%、蛋白質15%で構成されたバランスのよい食事をとってもらい、
続く6日間は脂質または糖質量をそれぞれ30%減らし、ベースライン食よりカロリー摂取量も30%制限した。

 その結果、1日あたりの体脂肪減少量は、糖質制限群では53gだったのに対し、脂質制限群では89gと有意な差がみられた。
減量効果は、脂質制限群より糖質制限群で大きかったが(1.8kg対1.4kg)、
Hall氏らによるとこれは水分消失量の違いによるものだとし、肥満治療には脂質制限のほうが重要だと述べている。