親指の隣にもう一つの親指ができる先天的な病気「親指多指症」で、
これまで切除すれば問題ないとされていた小さい指でも、
生えている場所が手首に近いほど機能障害が起こる可能性があると
京都大医学部付属病院形成外科の斉藤晋講師が発表した。治療法の開発につながる成果という。
論文が28日、米形成外科学会の学術誌で発表された。

親指が2本できる親指多指症は1000人〜5000人に1人の頻度で起こる。
原因は不明だが、親指の横に同じぐらいの大きさの親指ができる「非浮遊型」や、小さい親指ができる「浮遊型」、
豆のように小さな親指がぶら下がる「遺残型」などさまざまな形態がある。

 国内では乳児期に手術するケースが多いが、非浮遊型だけでなく、
遺残型でも切除手術後に手に変形や機能障害を起こすことが報告されていた。
そこで、斉藤講師は未解明の解剖学的な仕組みがあると考え、手の筋肉を調べることにした。

 研究では親指多指症の18人の赤ちゃんと中学生1人の手を調査。
超音波スキャナーで、親指の根本にある「母指球筋」を観察した結果、
指が小さくても、もう一つの親指の位置が手首に近いほど筋肉がやせていたり、欠損していたりすることが分かった。
母指球筋は鉛筆を持つなど親指で精密な作業をするのに重要な筋肉で、
形成が不十分な場合は腱などを再建する必要があるという。

 斉藤講師は「今後、より機能的な再建手術の開発を進めたい」と話している。

図:親指多指症の筋肉発達に規則性の研究
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毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20171230/k00/00e/040/171000c