体内で電気を作り出せるデンキウナギから着想を得た、
体内で電気を作り出して心臓ペースメーカーなどの人工臓器やコンタクトレンズ型ディスプレイなどの小型端末の動力を
得ようという研究が進められています。

An electric-eel-inspired soft power source from stacked hydrogels | Nature
https://www.nature.com/articles/nature24670

Electric eel-inspired devices could power artificial human organs
https://www.nature.com/articles/d41586-017-08617-3

デンキウナギからヒントを得た、人工発電システムのアイデアについては以下のムービーを見ればよくわかります。

体内で生み出した電気を使ってエサとなる小動物を捕ったり外敵から身を守ったりするデンキウナギは、
自然界において文字通りショッキングな存在です。

デンキウナギが電気を生み出す仕組みは、体内に存在するナトリウム、塩素、カリウムなどのイオンを利用するというもの。

電気を作り出すために、皮膚にある電気細胞のイオンチャンネルを開き、体液に含まれるナトリウムイオン、
カリウムイオンなどの陽イオンを一気に移動させることで……

膜の前後で150mVの電位差(電圧差)を作り出して電気をとり出します。
つまり、デンキウナギは「小さな電池」を自由に作り出せるということです。

個々のイオンチャンネルは、わずかな電位差しか生み出せず微弱な電気しか作り出せません。

しかし、デンキウナギは体表に小さな電池を千個以上、直列に並べて一気に電気を生み出すことで、
数百ボルトの電圧を作り出すことができます。

この小さな電池を大量に直列に並べて大きな電気を作り出すというデンキウナギの発電の仕組みに触発されたミシガン大学の研究者たちは、
人間の体内で電気を作り出すメカニズムを研究開発中です。

イオンを内包したゲルを重ねることで、「小さな電池」として機能させます。
このゲルをシートに大量にプリントして……

2枚のシートを重ね合わせることで、「大きな電池」として機能させます。

シートを重ね、ゲルは一続きの回路を生み出して直列化することで、大きな電気を取り出そうというわけです。
しかし、直列回路を作るためにはすべてのゲルを同時に接触させる必要があり、
これはシートを重ねることでは実現できません。

そこで考え出されたのが、折り紙構造。

ゲルを付着した折りたためる紙を一気に折りたたむことで、ほぼ同時にゲルを接触させて直列回路を作り出し、
小さな電池を1000個以上直列化するデンキウナギと同じ発電の仕組みを作り出すという狙いです。


ミシガン大学のトーマス・シュローダー博士の研究チームは、
生体適合性のある電源を生み出すためにデンキウナギに注目しました。
ポリアクリルアミドと水を使ってデンキウナギの電気細胞のようなイオンを交換できる4種類のゲルを作り出して、
約2500個積み重ねることで110ボルトの電位差を生み出すことに成功しています。

デンキウナギは代謝のエネルギーを活用して、
電気細胞間の電解質の濃度の差を維持するという仕組みを持っていますが、
この仕組みもシュローダー博士たちは再現しようと考えています。
最終的には体液に含まれるイオンを利用して生体適合性のある小さな電池を直列化して電気を生み出すことで、
心臓のペースメーカーやディスプレイを兼ねるコンタクトレンズなどの端末の電源を、体液から作り

関連動画
Electric eel batteries https://youtu.be/MNctvU0LZ9M

GIGAZINE
http://gigazine.net/news/20171227-electric-eel-inspired-organ/