――午前三時、東京都品川区には「ネコ」が現れる。
この噂は業界関係者には有名な情報である。
セガゲームス本社はおよそ2000人の従業員を有するセガグループのエリートたちが集まるビル。
その中に「ネコ」と呼ばれる従業員が存在することを彼らは知っている。

「んぅ…」

パソナルーム送りを恐れ、自らサービス残業をする社員たち。
しかし午前三時になるとそのパソナルームから耳障りな声が聞こえる。

「ねむねむにゃんこなのだ…」

これは怪奇なのであろうか。否、この声の持ち主こそがセガゲームス全体の""柱""を熟知する亡国の姫、酒井であった。

「あぁん、木村!もっと欲しいの!」

扉が開かれるとそこには醜悪な姿をした「ネコ」が姿を見せた。

「セガゲームスを、いや、セガサミーグループ全体を支える""柱""を教えてちょうだーい!」

果敢にパソナルームへと鎮圧を開始するかつての忠臣である「亡霊」、木村がその極太の""柱""を露出する。

「ばっかじゃねーの、不愉快だわ」

――今宵も月下で亡国の追憶が繰り返される。