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安藤「あんまり嗅ぎ回らない方がいいよ」 [無断転載禁止]©2ch.net
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2016/05/03(火) 04:16:28.66ID:syg61hzK
「水槽の中の魚が泳いでいられるのは、絶えず誰かが管理しているから。魚はそんな事を知らないし、知る力もない。魚はそれでいいの」

何も見えない真っ暗闇だった。
そして脳が焼けそうなくらいに熱かった。

(眼球を抉られている)

それを意識するとまた身体が震え出す。
せっかく忘れる事で落ち着いていられたのに!
またしても脂汗が湧き出し、脳がやかましい警鐘をあげる。
そんな事をしても雁字搦めにされた身体は動かないというのに、私は何度繰り返せば学習するのだろう。

せめて痛みを和らげようと全身が空気中の××××をかき集めようとするが、それは私の周囲のどこにもない。
水を抜かれた水槽の中の魚のように、パクパクと無意味なエラ呼吸を繰り返すだけなのだ。

「だからね、管理されている魚は水槽の外を知らない、知ってはいけないの。水槽の中の自分たちを、水槽の外の管理者がどう思ってるかなんて」

「ましてや、水槽の外の叡智を水槽の中に盗み出そうとするなんて、論外だよね」

楽しげな女の声が私の耳を刺激し、脳に何かを伝えようとしているが、私の脳は重要な感覚器官の喪失に手一杯な様子で、何を伝えられようとしているのか全く理解が追いつかないでいた。
ただ一つ理解しているのは、私のすぐそばにいるはずのこの女に、私は温厚な感情を抱いてはいられないという事。

「@#※♯!!!」

理性を失い本能だけがフル稼働している脳髄が、母国の、私の知る限り最も汚らわしい言葉を口走らせる。
女に言葉の意味が伝わるかどうかすらもわからない、ただ単純に本能が相手を許してはおけないと声高に叫ぶのだ。

もはや私の管理から外れた声帯が繰り返しおぞましい言葉を羅列していく。
自分の声帯の震えばかりが鼓膜を揺らしている為に、私はこの暗闇しか見えない、それも見えてすらいない訳だが、この部屋に新しい誰かが入ってくるのを察知できなかった。

「パティちゃん、お待たせ」

「遅いよティア〜。さっきからウルサくてウルサくて、いい加減気管をくり抜いてやろうかと思ったよ〜」

かつてまだ私の両目が光を得ていた頃によく見かけ、また聞き知った二人の会話が聞こえる。
それがこんなにも憎しみを駆り立てる日がくるとは、その頃はついぞ思いもしなかったのだが。

そして不意に、思いがけない声までも聞こえてしまった。

「またなの、アリス」

私がこの水槽の中で唯一、私が別の海で育った魚だと教えたあの人。
彼女に容認されていれば、安泰だと踏んでいたかつての愚かな自分を殺したくなった。

「あんり嗅ぎ回らない方がいいって、何回も言ったんだけどなぁ、@◎※」

その名で呼ばれて、私の理性が急に呼び覚まされた気がした・・・。
0002774メセタ
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2016/05/03(火) 04:49:07.75ID:syg61hzK
※※※

カフェというものが出来たと知って、私は話題の波が去ったであろう頃にようやく立ち寄ってみることにした。
私の母国にもこれと同じような店はあったが、客が素材を集めてくるなどというシステムはなかったはずである。
席につくだけで注文もせずに料理が出てくることもなかったので、そこはどちらが優れているとは判断しにくい。
何より客が集めた素材で作る料理の方は、一般人が頼む理由もない効能ばかりが前面に出たものなので、本来そちらを目当てにするのはこの船でも調査、開拓を主とした彼らくらいであろう。

町並みのよく見える席についた私は、目の前に瞬時に転送された黒い液体をまじまじと眺め、内容物を精査する機器をこっそりと差し込み何も危険のない事を確認してから、ほんの少し口を付けてみた。

飲む前の香りは病みつきになりそうだったが、舌の上に滑り込んできた液体は私のしかめ面を引き出すに十分醜悪な味で、しかし喉奥に流し込むと再びあの香りが鼻孔を満たし、不快感を和らげる奇妙なものだった。

「それ飲んだ後、甘い物がことさら美味しく感じるよ」

飛び上がりそうな身体を抑え込んだ私の理性に、花を贈ってもらいたい。
全く気配もなく、最初からそこにいたかのように自然と、彼女は私の対面の席に座っていた。
彼女が暗殺者であったら私のしかめ面を剥製に出来るくらいの腕の良さだろう。
落ち着こうともう一口その液体を口にして、今度は苦味ばかりを味わい少しむせた。

「落ち着いてゆっくりと飲むのが一番いい飲み方だと思うな」

そんな私を笑う事もなく、ガラス玉のような目で不気味にこちらを見ている。
その口元は微笑んでいるのだが、気配はどこか疲れたような節を感じた。

彼女には幾千の名前があった。
私と接する彼女は○○という名前だったはずだが、この場では何故か安藤と呼ばれるのを好んでいた。

「落ち着かせてもらえれば、そうするわ」

恨めしげに返す。
私がここでこんな素の感情を表せるのは彼女くらいだろうな、とぼんやりと考えながら、次に口にした黒い液体は最初に飲んだ時よりも香り豊かで、苦味はほろ苦さといえる程度になりを潜めていた。
0003774メセタ
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2016/05/03(火) 05:19:00.34ID:syg61hzK
私がそのほろ苦い黒い液体、コーヒーというのだそうだが、それを飲み終えて皿の上にカップを返すと、少しして淡い光と共に姿を消し、今度は白いケーキがとってかわった。

「余り入り浸ると太ってしまいそうね、ここは」

なるほど、先ほどまでの苦い経験を覚えていた私の脳は、新たに受け入れた白い甘みに柏手を打って喜んだ。
嬉しい鞭と飴、人間を堕落させる麻薬のようだ。
麻薬患者の如く私が次々にそれを口に運んでは喜んでいた事を、どうか誰も責めないで欲しい。

ふと視線を上げると、彼女が同じくケーキの皿を前にしながら、今度こそ愉快そうに私を見ているので、何とも気恥ずかしい気分にさせられた。
視線を落とすと最後に取っておいた赤い果実が私をあざ笑っているようで、憤然としながらそれにフォークを突き刺してやった。
残酷に無惨にそれを咀嚼してやって、ざまぁみろという気分である。

そうして、安藤は私が人心地つくのを見計らって、少し遠い目をしながら口を開いた。

「少し前に、テレプールの機能構造を盗んでリークしようとした魚が網にかかったんだってさ」

「・・ふぅん」

それはちょうど、私が調査をしてみようとしていた案件だった。
地上に設置されたテレパイプなる転送装置に任意で転移できたり、そうでなくとも高高度から地上に何のリスクもなく落着できるその装置は、母国のあらゆるシステムに応用できると考えていたからだ。
実際、似たような装置は既に配備されていたが、テレパイプのような汎用性を得るには至っていなかった。

「カタパルトの転送とか、AISの高速配備にも使われているそうで、こっちとしても軍事利用色の強い道具だからさ。余り知らない誰かに広まっちゃうと困るんだって」

よく知らないけど、といって彼女は面倒くさそうに視線を街並みへと投げた。
深く聞いてみたい好奇心を抑えるのには苦労したが、最初に網にかかった魚の話をされては、余り聞く訳にもいかなかった。
その魚はどうなるのか?
食用であれば捌かれ、カフェのランチに共されるだろうし、そうでなくとも陸に上げられてしまえば呼吸もできなくなり息絶えるだろう。

彼女は、私に同じ魚にならないよう忠告してくれているのだ。

「前にも言ったかもしれないけど」

気怠げに彼女が続ける。

「今の組織は基本的に情報は全て公開してるから、それでも知ることの出来ないものって事は、知らない方がいいことなんだろうね」

テーブルの上に、ここでは見慣れた、ひどく一般的なアイテムを置いて、彼女は立ち上がった。

「これの中身みたいにさ」

未使用のモノメイト。
いくら調べてもその内容物の組成を判断できない、広く普及しごくありふれたオーバーテクノロジーの塊だった。
0007774メセタ
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2016/05/04(水) 01:55:48.30ID:xTZwoK2c
おいおい先が気になるぞ

というか公式でもいろいろ資料がてらの小説出してほしいなぁ
0008774メセタ
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2016/05/04(水) 02:30:01.06ID:dju2LA9R
おいコラ飽きてんじゃねぇよ
やり始めたならさいごまでやれ
0009774メセタ
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2016/05/04(水) 04:28:56.60ID:HxXd639B
ゆっくりでええ
風呂敷はたたんでな
0010774メセタ
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2016/05/04(水) 05:32:09.45ID:blTcsSho
何かの小説を人名だけ変えてそのまま使ってる様な感じ
0011774メセタ
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2016/05/04(水) 07:28:21.92ID:+YuBuqYL
文体が推理小説みたいな印象 
>>10
パクってるというのは得心いった
0012774メセタ
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2016/05/04(水) 23:02:29.91ID:xvtcTJXP
※※※

アークスとしてこの船に乗っている以上、例え本来別の世界の住人といえど任務はこなさなければならない。
惑星ウォパルという水の星で発生した緊急事態の対応に駆り出された私は、水中から飛び出し襲いかかってくる原生生物や、空間を越える力を持った人造の龍に追い回されて、すっかりくたびれて帰還した。

戦闘が不慣れという事はないはずだが、一人で処理するには今日は相手が多すぎた。
途中、何度か安藤に助けてもらいながらどうにか切り抜けたが、いい加減一人で活動するのも辛く感じる。
かと言って安藤の他にこの船で頼れる者もいない、というより、余り深く誰かと関わっては自分の任務に支障をきたすのだ。

我ながら嫌なジレンマだと感じながら、いつも自分が身を休めるショップエリアの壁にもたれかかった。

モノメイトのおかげで傷らしい傷はなかったが、さしものかの万能治癒薬も肉体と精神の疲労までは完全に取り去ってくれないようだ。

「ねぇねぇティア〜!まだ新しい惑星への出撃許可は取れないの〜?」

「取れるとか取れないとかじゃなくて、元々知的生物のいる星な上に、情報部が公然と機密事項として情報遮断してるような所なんだよ?私達みたいな一般アークスには土台無理なんだってば」

背後の通路で、いつもの賑やかな姉妹が大声で話しているのが聞こえた。
最近その存在が認知された惑星、座標もその名も一切が伏せられ、発見されたこと、特命を受けた一部のアークスだけがその惑星に派遣されている事だけが公表されている。
この組織にしては珍しいくらいに情報が隠匿されており、私自身大変興味があったが、やはり彼女達と同じように私も蚊帳の外にされていた。

「じゃあさ、じゃあさ、せめてその星に行った人に話を聞いてみようよ!」

「それも難しいんじゃないかなぁ。派遣されてる人のリスト、公表されてるのは安藤さんだけだよ?」

「うぇー・・・専属情報屋が契約してる相手に情報を聞くなんてかっこ悪いよぉ・・」

「でしょ?だから私達は別の方面の情報集めを頑張ろう」

「うぅー・・・でも気になるぅ・・・」

二人の陽気な会話が遠ざかっていく。

新しい惑星、しかも知的生物が現住している。
まさか、そんな事はないだろうと思いたかった。
母国からそれらしい情報は来ていないし、間者としての私への命令にも変更はない。
潜り込んでいるのが私だけとは言えないが、少なくとも定時連絡は問題なく送受信できている。
せめてその惑星の座標だけでもわかれば、安心できるのに・・・。

心地の悪い考えに耽っていると、こちらに向かってくる足音を聞いて顔をあげた。

「緊急任務、お疲れさま」

私の知る唯一の突破口、安藤だった。
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2016/05/04(水) 23:21:40.88ID:xvtcTJXP
※※※

アークスとしてこの船に乗っている以上、例え本来別の世界の住人といえど任務はこなさなければならない。
惑星ウォパルという水の星で発生した緊急事態の対応に駆り出された私は、水中から飛び出し襲いかかってくる原生生物や、空間を越える力を持った人造の龍に追い回されて、すっかりくたびれて帰還した。

戦闘が不慣れという事はないはずだが、一人で処理するには今日は相手が多すぎた。
途中、何度か安藤に助けてもらいながらどうにか切り抜けたが、いい加減一人で活動するのも辛く感じる。
かと言って安藤の他にこの船で頼れる者もいない、というより、余り深く誰かと関わっては自分の任務に支障をきたすのだ。

我ながら嫌なジレンマだと感じながら、いつも自分が身を休めるショップエリアの壁にもたれかかった。

モノメイトのおかげで傷らしい傷はなかったが、さしものかの万能治癒薬も肉体と精神の疲労までは完全に取り去ってくれないようだ。

「ねぇねぇティア〜!まだ新しい惑星への出撃許可は取れないの〜?」

「取れるとか取れないとかじゃなくて、元々知的生物のいる星な上に、情報部が公然と機密事項として情報遮断してるような所なんだよ?私達みたいな一般アークスには土台無理なんだってば」

背後の通路で、いつもの賑やかな姉妹が大声で話しているのが聞こえた。
最近その存在が認知された惑星、座標もその名も一切が伏せられ、発見されたこと、特命を受けた一部のアークスだけがその惑星に派遣されている事だけが公表されている。
この組織にしては珍しいくらいに情報が隠匿されており、私自身大変興味があったが、やはり彼女達と同じように私も蚊帳の外にされていた。

「じゃあさ、じゃあさ、せめてその星に行った人に話を聞いてみようよ!」

「それも難しいんじゃないかなぁ。派遣されてる人のリスト、公表されてるのは安藤さんだけだよ?」

「うぇー・・・専属情報屋が契約してる相手に情報を聞くなんてかっこ悪いよぉ・・」

「でしょ?だから私達は別の方面の情報集めを頑張ろう」

「うぅー・・・でも気になるぅ・・・」

二人の陽気な会話が遠ざかっていく。

新しい惑星、しかも知的生物が現住している。
まさか、そんな事はないだろうと思いたかった。
母国からそれらしい情報は来ていないし、間者としての私への命令にも変更はない。
潜り込んでいるのが私だけとは言えないが、少なくとも定時連絡は問題なく送受信できている。
せめてその惑星の座標だけでもわかれば、安心できるのに・・・。

心地の悪い考えに耽っていると、こちらに向かってくる足音を聞いて顔をあげた。

「緊急任務、お疲れさま」

私の知る唯一の突破口、安藤だった。
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2016/05/05(木) 08:11:44.37ID:EcsAXQ25
細切れにしやがって続き気になるじゃねえか
0018774メセタ
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2016/05/05(木) 17:17:12.57ID:1X00jPbj
「ちょうどよかった。貴女に聞きたい事があったの」

「私に?」

軽い足取りで彼女は私の傍らに立ち、同じように壁にもたれかかった。

「いいよ。私に答えられる事なら」

人懐っこい笑顔に私は一瞬たじろぎながら、さてどう切り出したものか、と頭を巡らす。
余り回りくどく尋ねて余計な疑念を持たれたくもないし、かといってこの場は私にとって単刀直入に内緒話をするのに適していない。

「その前に、場所を移さない?今日助けてもらったお礼もしたいし・・・前に行ったカフェとかどうかしら」

深い考えもなく口から勝手に零れた意見だったが、我ながら名案だと思った。
移動するまでの間に知恵を捻る猶予を得られたし、何より食事は人の思考を鈍らせ、口の滑りをよくする事もあるからだ。

安藤の同意も得て、私は不自然にならない程度にゆっくりと歩き出した。
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2016/05/08(日) 03:09:51.55ID:2b+Jq0gr
続き書くならちゃんと完結させてね?
0020774メセタ
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2016/05/09(月) 01:18:38.22ID:xc7Ndk/9
面白いから続き待ってる
0021774メセタ
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2016/05/09(月) 09:21:29.07ID:PEvrhBCA
匂いかと思ったら違ってた
0022774メセタ
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2016/05/10(火) 13:27:28.99ID:47ocE4vK
エコー「あんまり嗅ぎ回らない方がいいよ」
0025774メセタ
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2016/05/17(火) 21:14:03.37ID:RdHYsSN0
あんまり期待するとプレッシャーになって失踪するからな
俺は期待しない
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