[2021/09/04 10:30]

最後のアメリカ軍輸送機が飛び立つとアメリカ軍の完全撤退が完了し、20年間のアフガン駐留はあっさり幕を降ろした。

予測できなかったアフガン政府の瓦解とアフガン国軍の潰走。
自爆テロで失われた170人以上のアフガン人と13人の若き兵士たちの命。
アメリカによる報復攻撃と、巻き添えで失われた子どもの命。
そして100人を超えるアメリカ人を残しての撤退。

「アフガン撤退」での失敗はバイデン外交に大きなシミとなって残るだろう。
しかし、「アフガン撤退」の失敗という影の中でも、自分の正義を貫く人たちがいた。

「パイナップル急行」と名付けられた命がけの秘密作戦、キャリアを投げ打って指導部の責任を問うた現役将校…

そこにはアメリカの強さが見えた。



◆混沌の中、淡々と任務を遂行した現場の部隊

「この仕事が大好き」

優しい手つきでアフガニスタンで小さな子を抱える23歳の海兵隊員、ニコル・ジーさんは、カブール国際空港のゲートでの任務の最中にイスラム国の自爆テロで亡くなる前、この写真とともに自身のインスタグラムにそう記していた。

自爆テロで犠牲となったアメリカ兵13人は皆、驚くほど若い。
最年長で31歳、20歳の若者が5人もいる。

「若き兵士の犠牲は我々、指導部が一生背負っていくことになる」(マッケンジー米中央軍司令官)

アフガニスタンにアメリカが留まり続ける戦略的利益はない―。
そうした判断によって発動された撤退は、アフガン政府の崩壊とその後の混沌を生み出した。

その混沌をまともに引き受けることになったのが、政治が決めた撤退を実行する現場の部隊であった。

爆弾ベストを巻いたテロリストによる自爆テロがリアルな状況下。
身体検査の瞬間、身分証明書を確認する瞬間、ペットボトルを手渡す瞬間、相手に近づくあらゆるすべての瞬間が自分の身を曝け出す最も危険なタイミングとなる。

テロ攻撃のリスクに暑さ、不衛生な環境に新型コロナの感染リスクが加わる。
極度の緊張を強いられる環境下においても、出国を求めて押し寄せる人々に兵士たちは水を与え、安全確認の検査をおこない、機内へ案内、誘導する任務を続けた。極限状態の中でもアメリカの理想を体現しようとするかのような若き兵士たちにアメリカ国内からは称賛の声が寄せられた。

アメリカは一貫して国益主義が基軸であり、その意味ではトランプもバイデンも「アメリカ・ファースト」で共通する。民主党のバイデン政権だから人権や価値を基準に戦略的判断を決定すると期待するのは幻想だ。

だからといって国益主義だけで動かないのがアメリカだ。
国益主義という大きな流れの中にも、時に自分が信じるものを貫き通そうとする動きがあることに時折、ハッとさせられる。

その一つが完全なボランティアによる、しかも元特殊部隊が有志となった秘密の救出作戦だ。
 



◆ルールを外れた救出作戦「パイナップル急行」
     ===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000227783.html