2002年に世界初の安楽死法を制定したオランダが、「死なせてよい生命」の範囲をめぐって揺れている。
安楽死の広がりで、認知症や精神障害者、「人生はもう無意味」と訴える高齢者まで死の権利を主張するようになり、
国内で「行き過ぎ」という懸念も高まる。論議の最前線を追った。

■ある認知症患者の死

 「世界が毎日縮んでいく。本当は一人息子(17)の成長を見ていたかった」

 遺書に苦悩がにじみ出る。5月、62歳のヤンヘンク・リーテマさんが安楽死の前日に書き残した。
アルツハイマー病と診断されてから2年半。認知症が進む苦痛に耐えられず、医師に致死薬処方を頼んだ。

 遺書を受け取った姉のイナ・ハイマリーテマさん(70)は今年1月、弟から死の決断を告げられた。
「『よだれを垂らし、他人頼みで生きるのは耐えられない』と言った。闘病の苦しみを見てきたから、
反対なんてできなかった」と回想する。ヤンヘンクさんの写真を見せてもらうと、
眼鏡の奥のまっすぐな瞳が印象的だった。生真面目な性格がうかがえた。

 病の兆候は57歳で表れた。物忘れがひどくなり、運転中、突然ハンドル制御ができなくなった。
2年後に退職。外出先から帰宅できなくなり、水道を閉め忘れたこともあった。
肉体的には年相応に元気だった。耐え難かったのは、「いつか完全に自己認識できなくなる」という絶望感だ。

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産経ニュース
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