2020.02.16

1974年2月16日に特撮TVドラマ『仮面ライダーX』の放送が開始されました。この作品では仮面ライダーシリーズ初となる手持ち武器「ライドル」の導入による時代劇を彷彿させる剣劇アクションや、物理的に巨大な最終ボス「キングダーク」の登場など、様々な新機軸が打ち出されました。押し寄せるロボットアニメブームの波に押されて数度の路線変更の後に35話で打ち切られてしまいますが、「昭和ライダー」の一員として今なお存在感を誇る同作について語ります。
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脳裏に刻まれた「セタップ!」

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 1974年2月16日に特撮TVドラマ『仮面ライダーX(エックス)』の放送が開始されました。この作品では仮面ライダーシリーズ初となる手持ち武器「ライドル」の導入による、時代劇を彷彿させる剣劇アクションの登場や、物理的に巨大な最終ボス「キングダーク」の登場など、様々な新機軸が打ち出されました。押し寄せるロボットアニメブームの波に押されて数度の路線変更の後に35話で打ち切られてしまいますが、「昭和ライダー」の一員として今なお存在感を誇る同作について、ライターの早川清一朗さんが語ります。

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『仮面ライダーX』のことを思い返すと、頭のなかに聞こえてくるのは「セタップ!」の掛け声です。仮面ライダーシリーズ第三作となるこの作品では、謎の秘密組織「GOD」に殺害された主人公の神敬介が、父親である海洋科学教授、神啓太郎の手により深海開発用改造人間・カイゾーグとして改造手術を受けて蘇りました。従来の仮面ライダーでは1号2号は健康体の状態で捕らえられてショッカーの科学者により改造手術を受け、V3は重傷の状態で1号2号から改造手術を施されています。つまり『仮面ライダーX』は、普通の科学者により改造手術を受けた初のライダーなのです。

「セタップ!」の掛け声は、「セットアップ」の略。要は「使えるように準備する!」という意味で、従来のライダーの掛け声「変身!」とはまるで意味が異なります。姿を変えるのではなく、むしろ普段人間の姿をしている神敬介が、本来の姿であるカイゾーグに戻るという意味が、「セタップ!」には込められているのです。

 作中で神啓太郎教授がなぜ仮面ライダーへの改造技術を持っていたのか解説はありませんでしたが、企画の時点では『仮面ライダー』一号・本郷猛の恩師である緑川博士と親交があったことが示唆されているそうです。神啓太郎教授は、手術を終えた直後に自らの記憶を海底基地・神ステーションに移植しますが、次の回で啓介の依存心を断つために自爆します。このあたりの怒涛の展開は昭和特撮の真骨頂とも言えるでしょう。


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【画像】昭和、平成ライダーを経て…令和ライダーが登場
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