2019年3月18日〜22日(現地時間)、アメリカ・サンフランシスコで行われている世界最大級のゲーム開発者のカンファレンス、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス) 2019。ここでは、ファミコン版『テトリス』をeスポーツに活用した事例をお届けしよう。

 eスポーツ華やかなりし昨今、1989年に発売されたファミコン版(海外ではNES)『テトリス』をモチーフに、eスポーツ競技として展開されている大会がある。“Classic Tetris World Championship”(略してCTWC)だ。「いまの時代にファミコンの『テトリス』でeスポーツの大会!?」と、少しびっくりしてしまうが、CTWC自体は2010年にスタートして、今年(2019年)で10年目となる人気大会となる。そうなると、ソフトの発売から約30年後に大会がスタートするというのも不思議な話なのだが……。

 そのへんの経緯が語られたのが、GDC 2019の会期4日目となる2019年3月21日(現地時間)に行われた“‘Tetris' World Championship: Building Explosive Esports on 8-bit Nintendo”だ。スピーカーは、CTWCの創設者にして、ゲームクリエイターでもあるクリス・タン氏。クリエイターとしての近作としては、Hitsparks Gamesのシニアゲームデザイナーとして、シューティング『Strike Blazinger』のリリースが2019年(か2020年?)に控えている。それどころかタン氏は長い業界歴を誇り、Blue Planet Software(つまりBPS)で、デザインコンサルタントとして働いていたという過去を持つ。欧米では2001年に発売されたゲームボーイアドバンス版『テトリスワールド』にタン氏が導入したデザインは、のちの『Tetris Effect』や『テトリス99』に受け継がれているとのことだ。

 一方で、タン氏はいろいろな大会での優勝歴を誇るeスポーツ選手でもあった。つまり、「『テトリス』とeスポーツは自分の分野だった」ので、タン氏にとってCTWCの設立は、ある意味で自然の流れと言えたのかもしれない。1989年にリリースされたファミコン版『テトリス』は、一部のユーザーからは“完璧”と評価されながらも世界チャンピオンは存在しなかった。そもそもふたり用が存在しないために、競技として選ばれたことがなかったのだ。2台のファミコンを並べて競うというスタイルがあったくらい。ちなみに任天堂は『テトリス』がリリースされた翌年(1990年)より、“Nintendo World Championships tour”(NWC)をスタートしていたりする。

 2010年にCTWCがスタートしたのは、折からのレトロゲームの盛り上がりと、eスポーツの機運の高まりがクロスオーバーした絶妙なタイミングだったということは言えるかもしれない。それにしてもなぜファミコン版『テトリス』だったのか?

 その理由をタン氏は、「多くの人がファミコン版を完璧だと思っていた」、「最高スコアの999999はゲームユーザーが死ぬまでに達成したい目標」、「ほかの『テトリス』のように永遠にはプレイできない」、「平均プレイ時間は6分〜9分程度。つまりeスポーツの試合として完璧!」、「わかりやすくてシンプル」、「ゲームとハードウェアが入手しやすい」などと列記した。つまり、eスポーツとして完璧だったというわけだ。

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