アニメーション業界は「君の名は。」などのアニメ映画が大ヒットし、活況をみせている。制作会社の業績も好調だが、大手の寡占化が進み、二極化が加速化。労働環境の悪化で人材枯渇も懸念される事態に直面している。(東京商工リサーチ特別レポート)

◆市場規模は2兆円を突破

 アニメーション業界は、2016年に「君の名は。」、「聲の形」、「この世界の片隅に」などのアニメ映画が大ヒット。2017年もその勢いを維持し活況をみせている。業界団体の一般社団法人日本動画協会によればアニメ産業の市場規模は2兆円を突破したという。

 東京商工リサーチの企業データベースからアニメーション制作業88社の業績を分析すると、2017年決算は増収増益と好調だった。

ただ、売上高別では上位5社が総売上高の6割を占める寡占化が進み、利益は「増益企業」と「減益企業」が拮抗し二極化が加速していることがわかった。

 アニメーション制作業88社の2017年(2017年1月期−2017年12月期)の売上高合計は1428億7000万円(前年比7.1%増)で2015年から2年連続で増収を維持している。

 当期利益の合計は125億6000万円(同26.2%増)で、全体では増収増益になった。

 増収増益の要因は、アニメーション制作本数の増加が寄与しているとみられる。

◆上位5社で売上の6割を占める

 アニメーション制作業88社の売上高別では、1億円以上5億円未満が31社(構成比35.2%)で最多だった。次いで、1億円未満が27社(同30.6%)、10億円以上50億円未満が17社(同19.3%)の順だった。

 5億円未満の構成比が65.9%(58社)を占める一方で、社数の構成比では5.6%しかない100億円以上の5社が、売上高の6割(構成比64.4%)を占めている。大手と中小、元請けと下請けとの格差が拡大している。

 ちなみに大手5社とは、東映アニメーション、創通、トムス・エンタテインメント、サンライズ、ぴえろのことだ。

 88社の最新期の増減収別は、「増収企業」が43社(構成比48.8%)だった。一方、「減収企業」は29社(同32.9%)、横ばいが16社(同18.1%)。

 増収企業の構成比は、前期と比べて4.5ポイント上昇し、好調な受注状況を反映した。

 88社のうち利益が判明した56社の増減益別では、2017年の「増益」は27社(構成比48.2%)、「減益」が25社(同44.6%)、横ばいが4社になり、増益企業と減収企業がほぼ拮抗した。

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