2018年07月21日 14時00分 公開
きみは「serial experiments lain」を知っているか 20周年を経ていまだ続く実験
20周年記念イベントをレポート。
[将来の終わり,ねとらぼ]

 「プレゼント・デイ■ プレゼント・タイム■」

 1998年7月6日25時15分。白地に大写しにされた赤字のタイポグラフィ。歪な笑い声とともに一本のアニメが放映された。「serial experiments lain」。


 キャラクター原案は「灰羽連盟」などで知られ、先日「RErideD -刻越えのデリダ-」への参加も発表された安倍吉俊。監督は「キノの旅」「神霊狩/GHOST HOUND」の中村隆太郎。
脚本は「THE ビッグオー」「デジモンテイマーズ」などアニメ脚本のみならず、Jホラーの先駆けとされるオリジナルビデオ作品「邪願霊」を手掛けた小中千昭。
ノイズがかった緑の画面を挟んで始まる、透き通るような彩色のオープニング映像を知る人は多いだろう。放映20周年を経て、今なお語り継がれるカルトアニメだ。


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【あらすじ】中学校に通う主人公・岩倉玲音のもとにある日、自殺したはずの同級生・四方田知砂からメールが届く。作中ではWired(ワイヤード)という名前でインフラとして機能しているインターネット、
彼女によるとここには「神様がおり」、「肉体は必要ない空間」なのだといい、その真意を知るため玲音はWiredに強い興味を抱き始める。
そんな中、友人のありすと共に訪れたナイト・クラブで次々告げられる「(自分と)違うlainを知っている」という言葉、自分を見ておびえる男の存在から玲音の日常が侵食されていく。
Wiredと現実世界(リアルワールド)の境界が徐々に曖昧になっていくなか、玲音はこの世界と自分の真実に向き合っていく。
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 インターネットの個人使用率が1桁台、PC普及率がわずか25%程度であった放送当時、「プロトコル」「ボイスメール」「プロセッサ」といった単語が矢継ぎ早に現れる脚本、ネットワークに接続したAR/VRゴーグルを装着するキャラクター、
音声認識を使用した端末ログイン機能、「NAVI」と呼ばれる小型ネットワーク端末を誰もが持ち歩いている世界を描いた本作・通称「lain」は今なお非常に前衛的であり、
まさしく未来を予見していたと評されることも少なくない。また決してセリフの多くない脚本や、奇抜な演出からときに「難解」ともされる作風などから、非常に人を選ぶ作品としてあげられることも多い。

 個人的な感想をあげさせてもらえば、私はとにかく怖かった。徐々にWiredでのコミュニケーションにつかりこんでいく玲音、それに比例するように不気味なコード類やデジタル機器に埋め尽くされていく彼女の部屋、登場人物の裏の顔、
無機質な食事、血のような陰影、ほぼ使用されないBGM……。特に第1話は全ての画面に緊迫感があり、息をのんだ。「なにか恐ろしいことが起こりつつあるのに、その全景がつかめない」という恐怖は、物語後半までほぼ常に継続していた。

 突然ドキュメンタリータッチのネットワーク史番組が次々挟み込まれる9話、セリフを排除し、イメージシーンだけで構成された11話のAパート。地上波ぎりぎりの表現に挑戦した8話……など、
このアニメがとったとにかく特徴的で最先端な演出、表現、そしてストーリーテリング。ゲーム、雑誌連載とともに展開されたまさにserial experiments(一連の実験)と名付けるにふさわしい作品群は、
とくに岩倉玲音というキャラクターが海外のギークによってインターネットの深部を表したシンボルとして扱われることも少なくないように、日本のみでなく海外のユーザーにもカルト的な人気を博した。

     ===== 後略 =====
全文は下記URLで

http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1807/21/news005.html
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