2014年3月13日に東京地裁で行われた「黒子のバスケ」脅迫事件初公判で、
渡辺博史被告が読み上げた冒頭意見陳述の全文をここに公開します。
当初は月刊『創』の次号に掲載しようと考えていましたが、この事件について多くの人に
考えてもらうために、全文を早く公開したほうがよいと思いました。

法廷では時間の関係で全文朗読されなかったのですが、読み上げなかった部分に
重要な記述もあります。例えば、昨年、脅迫を受けた書店が次々と出版物を撤去していった
時期の後に、被告は書店への放火を計画していたという内容です。
実行前に被告は逮捕されたわけですが、これは実行されていたら、深刻な事態を
引き起こしていたと思われます。

この公判の内容は新聞・テレビで報道されていますが、ごく一部のみ切り取って
報じられているため、内容が正しく伝えられていない気がします。
アベノミクスで景気回復などと庶民の実感と乖離したことが喧伝される一方で、
格差が拡大し、自分の将来に何の希望も持てない人たちが日本社会に存在していることを、
この事件は示しています。被告の短絡的な発想が目立つことは否めないとはいえ、
現在の日本社会の深刻な断面も、この事件は浮き彫りにしているような気がします。

以下、渡辺被告の冒頭意見陳述の全文です。