米議会予算局(CBO)は12日、連邦政府の借金限度額を定める「債務上限」を引き上げなければ、6月前半に米国債がデフォルト(債務不履行)に陥る「重大なリスクがある」と警告した。バイデン米大統領とマッカーシー下院議長(共和党)は、週明けにも上限引き上げを巡り再会談する予定。タイムリミットが近づく中、デフォルト回避に向け双方が歩み寄れるかが焦点となる。

 CBOは連邦債務に関する最新のリポートで、上限を引き上げなければ6月第2週までのどこかの時点で米政府が債務を支払えなくなる恐れがあると指摘。世界の金融市場を大混乱に陥れる史上初の米国債デフォルトが現実味を増しているとの認識を示した。

 CBOは米議会の超党派機関で、政治的に独立した立場で財政問題を分析している。上限引き上げのタイムリミットに関しては、バイデン政権のイエレン財務長官が「6月1日にも資金が枯渇する」との見通しを示しているが、CBOが同様の分析結果を示したことで関係者の危機感が強まりそうだ。

 一方、CBOは仮に6月15日まで危機をしのげれば、四半期ごとに企業などが納める税金が国庫に入ってくるため、タイムリミットは7月末まで猶予されるとの見通しも示した。

 現在の債務上限額は31・4兆ドル(約4300兆円)。今年1月に上限に達し、政府は公的年金基金への投資停止などの特別措置で資金繰りを続けている。

 マッカーシー氏ら共和党はバイデン政権の看板政策の廃止など大幅な歳出削減を条件に、上限引き上げを認める考えを示している。バイデン氏と民主党は無条件の引き上げを求めていたが、米メディアによると共和党との合意に向けどの歳出を削れるか検討を始めているという。
https://mainichi.jp/articles/20230513/k00/00m/030/030000c