→インフレは既にピーク、S&P500は年末4600-ハットフィールド氏
→利上げのピークはまだ、今後は欧州の物価が関心の的に-イエルポ氏

米インフレ率がピークに達した兆しがようやく現れ、米株と米国債は上昇した。

  米労働省が10日発表した7月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.5%上昇と、約40年ぶりの上昇率だった6月から鈍化し、ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値(8.7%上昇)も下回った。CPIが市場予想を下回るのは2021年の早い時期以来。今のところウォール街関係者は米金融当局の利上げ幅縮小が株式相場の上昇につながると踏むが、市場の反応とそれがもたらす金融環境の緩和は当局の懸念を生む可能性もある。

□米CPIは予想以上に減速、エネルギー価格低下-利上げ圧力緩和 - Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-08-10/RGEG45T0G1KX01

Inflation Cools/US consumer price index, core measure were softer than expected in July/Source:Bureau of Labor Statics
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i50b6LetJ60w/v3/pidjEfPlU1QWZop3vfGKsrX.ke8XuWirGYh1PKgEw44kE/1025x-1.png

Stock Fucures Rally/S&P 500 futures rise following CPI report/Source:Bloomberg
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iOAfhNqiHovs/v2/pidjEfPlU1QWZop3vfGKsrX.ke8XuWirGYh1PKgEw44kE/1025x-1.png

  7月の米CPIを受けた市場関係者の見方は以下の通り。

●インフラストラクチャー・キャピタル・アドバイザーズのジェイ・ハットフィールド最高経営責任者(CEO):

→S&P500種株価指数は年末に(足元の水準から10%近く高い)4600を予想する。インフレはピークに達したとみている。米金融当局による9000億ドル(約119兆円)のマネタリーベース縮小は10%以上のドル高をもたらし、商品価格を押し下げた。

●ロンバー・オディエ・アセット・マネジメントのフロリアン・イエルポマクロ調査担当責任者:

→リスク資産にとって総じて良いニュースだ。米国についてはインフレ局面のピークを既に迎えた可能性が高い。ただし、各国中銀の利上げサイクルや欧州のインフレについてはピークはまだだ。今後は欧州の物価状況が米国のインフレよりも市場の関心を集め、ドル高は和らぐ公算が大きい。

●プリンシパル・グローバル・インベスターズのシーマ・シャーチーフストラテジスト:

→7月のCPIを受けた市場のお祝いムードは長続きしないだろう。米金融当局の政策見通しや景気について、市場は楽観し過ぎた。10-12月期に差し掛かるにつれ企業利益は伸び悩みが顕著になり、インフレも緩慢なペースで鈍化するに過ぎないだろう。追加利上げが絶対的に必要だと市場は思い知らされることになる。相場は再び下げやすくなるとみる。

原題:
‘Good News for Risky Assets’: Wall Street Reacts to CPI Data(抜粋)
https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-08-10/-good-news-for-risky-assets-wall-street-reacts-to-cpi-data

2022年8月11日 1:20 JST
Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-08-10/RGEIVMT1UM0X01