リコーは28日、富士通の全額出資子会社でスキャナー大手のPFU(石川県かほく市)を買収すると発表した。買収額は840億円。富士通が保有するPFUの株式の8割を取得する。同日開いた取締役会で決議した。7月1日の買収を予定する。

PFUは1960年の創業で、主力の「スキャンスナップ」などを手掛けるスキャナーメーカー。医療機関や貿易機関、銀行などで手書き書類をスキャンして画像データにするなど、専門性の高い業務フロー部分に使われている。リコーはこれまで接点の少なかった金融機関や医療機関などの顧客基盤を取り込み、デジタルサービスの提供先を広げる狙い。

リコーはPFUの技術や顧客基盤と、既存のデータ処理技術などと組み合わせたデジタルサービスに力を入れる。銀行での申請書入力作業を自動化し、リコーの持つクラウド基盤「リコースマートインテグレーション」とつなげて申請作業を効率化するサービスと組み合わせるなど、業務フロー改善を提案する。

PFUの持つIT(情報技術)技術も取り込む。PFUが強みとするクラウド構築運用やセキュリティーサービスといったIT管理サービスのノウハウを取得し、リコーのオフィス関連のサービスと組み合わせる。

ペーパーレス化などで事務機市場の縮小が続くなか、リコーはオフィスや様々な業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)関連サービスを強化し、事務機メーカーからデジタルサービス会社への転換を急ぐ。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC26ASH0W2A420C2000000/