総務省が28日発表した2021年の住民基本台帳の人口移動報告によると、東京都に転入した人から転出した人を差し引いた「転入超過」は5433人だった。比較可能な14年以降で最少を更新。東京23区は初めて転出が転入を上回った。新型コロナウイルス禍でテレワークの普及などが進み、都心から人が出ていく動きが加速している。

23区では、区外や他県への転出者から転入者を差し引くと1万4828人の転出超過だった。コロナ禍前は5万〜7万人程度の転入超過で推移してきたが、人の流れが大きく変わっている状況を映す。

東京都全体への転入超過は20年に比べて8割減り、2年連続で最少を更新。転入者は21年で42万167人と、20年から3%減った。東京は20年5月に、比較可能な13年7月以降で初めて転出超過となった。21年は入学や就職で都内への転入が増える3〜4月を除く月で、転出の方が多かった。

東京都からの転出は41万4734人と、20年から1万3千人ほど増えた。転出者を多く受け入れたのは近隣県で、東京に埼玉、千葉、神奈川を加えた「東京圏」では8万1699人の転入超過になった。20年から1万7544人減ったものの、高い水準を保つ。

転出先は神奈川(9万6446人)、埼玉(7万8433人)、千葉(5万8485人)の順に多かった。総務省はコロナ禍で東京や大阪といった大都市に人が集まる動きが緩やかになっていると指摘する。

金子恭之総務相は28日の閣議後の記者会見で「過度な東京一極集中は災害リスクや過疎高齢化が進む地方の地域社会の担い手不足などの点で是正が喫緊の課題だ」と述べた。

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2022年1月28日 8:54 (2022年1月28日 10:45更新)
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA245XN0U2A120C2000000/