ランサムウェア(身代金ウイルス)の被害に遭ったことをゲーム大手カプコンが16日明らかにした。企業を標的にしたサイバー犯罪グループに、被害企業や各国の捜査機関はどう対応していけばよいのか。

 被害を公表したカプコンが真っ先に取り組まなければならないことは、サイバー犯罪グループが公開した約60ギガバイトにのぼる機密情報の流出を止めることだ。データ量にして文庫本32万冊分(1冊10万字と換算)の内訳について、同社が16日に公表したプレスリリースによれば、取引先や株主名簿など社外の個人情報が最大35万件、ゲームの売り上げや営業、開発資料といった社内情報が含まれていたという。まさに経営の根幹に関わる情報だ。

 だが、公開された情報を差し止めるのは容易なことではない。発信元が特定できない闇のインターネットサイト「ディープウェブ」上に公開されており、データが保管されたサーバーがどの国のどこにあるのか、突き止めることが困難だからだ。

 仮に突き止めたとしても、海外であれば日本の警察当局が直接手を下すことはできない。犯罪に関する国際捜査共助に基づき、国際刑事警察機構(インターポール)を通じた相手国への要請となるが、時間がかかることが予想される。朝日新聞の取材では、カプコンを脅迫するサイバー犯罪グループは、キリル文字を主に使う人物が関わっているとみられる。サーバーが海外にある可能性は極めて高い。
https://www.asahi.com/articles/ASNCJ5TBKNCHULZU00F.html