【シリコンバレー=白石武志】米アップルは10日、自社で設計開発した半導体を初めて搭載したパソコン「Mac」3機種を発表した。デスクトップ型の「mini」については従来機種に比べ100ドル(約1万500円)値下げし、699ドルからとした。値ごろ感を高め、在宅勤務や遠隔学習などで広がる家庭のパソコン需要を取り込む狙いだ。

Mac向けの新たな半導体「M1」は英アーム・ホールディングスが提供する半導体設計支援ツールを使い、アップルが自社で設計開発した。CPU(中央演算処理装置)や画像処理の能力を高めつつ、消費電力を抑えた。動画再生なら最大20時間のバッテリー駆動が可能になるといい、外出先でビデオ会議などを長時間使えるようにした。

価格は13インチ型のノートパソコン「MacBook Air」が999ドルから(日本での価格は税別10万4800円から)、高性能な「MacBook Pro」の13インチモデルが1299ドルから(同13万4800円から)。それぞれ従来機種と同じ水準に据え置いた。ディスプレーが別売りとなるデスクトップ型のminiの日本での価格は税別7万2800円から。3機種とも同日からアップルのウェブサイトや店頭で注文を受け付け始めた。引き渡しは来週からとなる。

アップルはすでにスマートフォン「iPhone」やタブレット端末「iPad」などについては自社で設計開発した半導体を搭載している。Mac向けのM1も共通の仕様で設計することで、iPhoneやiPad向けに作られたゲームなどの各種アプリがMac上でも動作するようにした。

アップルは2006年以降、Macについては米インテル製のCPUを採用してきた。インテルは近年、半導体の性能を左右する「微細化」の競争でライバルに後れをとっている。インテルの製品開発スケジュールに縛られることが、アップルにとってはMacの性能強化の制約にもなっていた。
以下ソース
2020/11/11 5:06 (2020/11/11 5:16更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66072920R11C20A1000000/