【広州=川上尚志】米調査会社IDCは29日、2020年7〜9月期の世界のスマートフォン出荷台数が前年同期比1.3%減の3億5360万台だったと発表した。企業別シェアで首位だった中国華為技術(ファーウェイ)は米政府の規制で大幅減となり、韓国サムスン電子が返り咲いた。インド市場の好調で中国の小米(シャオミ)が初の3位に浮上した。

サムスンの出荷台数は2.9%増の8040万台。シェアは22.7%と2四半期ぶりに首位に立った。インドで出荷台数が約4割伸び、全体をけん引した。低価格機種やオンラインを通じた販売が好調だった。

小米は42%増の4650万台と、大幅に伸ばした。インドと中国が好調で、シェアは4〜6月期に比べて約3ポイント高い13.1%になり、初めて米アップルを抜いた3位になった。

一方、ファーウェイの出荷台数は22.0%減の5190万台。シェアは4〜6月期に比べ約5ポイント下げて14.7%だった。米商務省の輸出規制を受けてスマホの主要部品である半導体の調達が厳しく制限され、生産が落ち込んだ。主力の中国市場でも出荷台数が15%以上減り、小米など競合に顧客が流れた。

アップルも出荷台数は10.6%減の4160万台にとどまり、シェアは11.8%で4位だった。高速通信規格「5G」に対応した新機種「iPhone12」の発売が遅れたことが響いた。

IDCは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、当初は7〜9月期の出荷台数を前年同期に比べて9%減ると見込んでいた。ただ新興国を中心に経済の再開が広がり、予想よりも需要の回復が進んだ。地域別では中国と西欧、北米が低迷し、インドやブラジルなどは好調だったという。

2020/10/30 15:00
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65655650Q0A031C2EA5000/