エーザイは6日、子会社で開発を進めているクローン病治療薬候補などについて、新型コロナウイルス感染症に適用するための共同研究を始めたと発表した。新型コロナ感染症に伴う免疫機能の暴走や血管障害を防ぐ効果があるか、動物試験などを通じて確認する。共同研究は2021年3月まで実施し、効果があれば臨床試験(治験)も視野に入れる。

共同研究にはエーザイのほか、子会社のカン研究所(神戸市)、国立国際医療研究センター、横浜市立大学、長崎大学が参加する。

新型コロナに感染した動物モデルをつくり、エーザイ子会社がクローン病向けの抗体医薬品として開発中の「E6011」と、エーザイが重症敗血症治療薬として開発していた「エリトラン」の薬効を評価する。新型コロナ感染症に伴う重症化の仕組みの解明も進めていく。

E6011はクローン病向けの治験が進められている。エリトランは重症敗血症向けの治験で効果が確認できず、14年に開発中止になった。ただ、新型コロナ感染症の重症化を防ぐ効果が期待されるとして、国際的な枠組み「REMAP-COVID」による治験が予定されており、近く患者への投与が始まる見通しだ。

2020/10/6 11:59
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64658710W0A001C2XB0000/