平井卓也デジタル改革担当相は30日、産経新聞社などのインタビューに応じ、マイナンバーカードのセキュリティを向上させるため、カードを使って電子申請などを行う際に複数の要素で本人確認する「多要素認証」の仕組みを導入することを検討していると明らかにした。現在の暗証番号に加え、顔認証などの生体認証を追加することが想定されている。

 多要素認証は本人が持っているカードやスマートフォンなどの「所有」、本人しか知らない暗証番号などの「知識」、本人の指紋などの「生体」の3つの異なる要素を組み合わせて本人確認を行うセキュリティ対策。暗証番号と出身小学校を聞くといった、知識の要素を2つ組み合わせる2段階認証よりも厳格な手法とされる。

 マイナンバーカードを使って電子申請を行う場合は、カードと暗証番号が必要で、すでに「所有」と「知識」の2要素で本人確認をしているが、平井氏は「セキュリティを考えると多要素認証が必要だ。生体認証をいれることを検討している」と述べた。

 安心・安全なデジタル社会の実現には、なりすましなどを防ぐため、確実な本人確認が重要だ。NTTドコモの電子マネー決済サービス「ドコモ口座」などを利用した不正な預金引き出し問題でも、本人確認が不十分なサービスがねらわれ、被害が拡大している。

 一方で新型コロナウイルス対策で実施した10万円の特別定額給付金のオンライン申請では、マイナンバーカードの暗証番号を忘れて、再設定のために多くの住民が役所に殺到する事態が発生した。このため暗証番号を廃止して生体認証を導入すべきだとの議論もあるが、平井氏は「今後の大きなテーマ」と述べるにとどめた。
2020年10月02日 07時00分
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2010/02/news040.html